値動きのあるリスク資産、たとえば株式や為替、そして投資信託等を運用されている個人投資家のみなさんは、その運用成績をどのように判断されているでしょうか。

AとB、どっちが優れている?

仮に、ファンドAとファンドBと2本のファンドを持っているとしましょう。ファンドAのリターンは年10%、ファンドBのリターンは年15%だったとします。どちらが優れたリターンを出していたかというと、、、。答えはファンドBとなりますよね、普通は。

ところが資産運用の世界では、話はそう単純ではありません。リターンだけの条件で見るなら、確かにファンドBはファンドAより5ポイントも高いリターンを上げていますから、確かにファンドBはAよりも優れていると言えます。

一方で、ファンドAもBも値動きのある金融商品ですから、その値動きが同じであれば結果だけを比べればいいのです。しかしながら、仮にファンドAのリターンに対する値動きの平均的な大きさ(=リスク値)が年間5%、ファンドBは15%とした場合、値動き1単位当たりの運用成績は、ファンドAは2.0(10÷5)、ファンドBは1.0(15÷15)となり、ファンドAの方がリスク値以上のリターンを得ているという意味では、より優れたファンドということになります。

図表1は値動きのイメージ図ですが、リスク資産の価格は直線的に右肩上がりになりませんので、リターンを比べる際にはリターン値そのものだけではなく、値動きの大きさ(リスク値)対比のリターンの質を比べないとならないことがお分かりになるかと思います。

このようにリターンをリスク値で割った比率のことを「シャープ・レシオ」と言います。

図表1:ファンドAとファンドBの値動き

損失が発生したときの値動きは?