長寿化が進む日本では「平均寿命と健康寿命」の差は看過できない現実と言えそうです。医療費や介護費への不安が月内というシニアは少数派ではないでしょう。
6月は年金支給月ですが、いまの70歳代世帯のお金事情を見ると、貯蓄や年金受給額には大きな個人差があります。
年金だけでは生活費をカバーできない世帯もあるでしょう。総務省の家計調査からは、標準的な年金受給世帯(※)は毎月3万円超の赤字を抱えている実態も見えてきました。
この記事では、70歳代の貯蓄事情や年金受給額、家計収支の実態についてお伝えします。「人生100年時代」に向けたお金の準備について考えるヒントになればと思います。
※世帯主が65歳以上の夫婦のみ世帯
1. 平均寿命と健康寿命は「イコールではない」現実
厚生労働省が発表している「令和5年簡易生命表」によると、現在の平均寿命は男性81.09歳、女性87.14歳(いずれも2023年時点)です。
また、2025年1月に総務省が公表した「2024年(令和6年)労働力調査」によると、全就業者数6781万人のうち、65歳以上の就業者数は930万人と、前年に比べて16万人も増加しています。
このように、シニアになっても元気に働く方々が増えるなか、健康寿命は、男性72.57歳、女性75.45歳となっています(2022年時点)。
健康寿命とは、「健康上の問題で日常生活が制限されることなく生活できる期間」のことです。
ここで気になるのが、健康寿命と平均寿命の差です。
働くシニア世代を後押しするしくみは整いつつありますが、医療費や介護費などがかさむ世帯が増える時期でもあります。健康面での不安を感じることも増えるでしょう。
このような時期には、貯蓄を取り崩しながら年金生活を送る世帯も増えるかもしれません。そのため、貯蓄をしっかりと計画し、年金生活を安定させることが大切です。
次章から、70歳代世帯がどれくらい貯蓄しているのか、その実態を見ていきましょう。