5.2 2025年度の公的年金は1.9%増える
公的年金は賃金や物価を考慮して、年度ごとに改定されます。2025年度の年金額は、次のとおり、前年度より1.9%引き上げとなりました。
- 国民年金（老齢基礎年金（満額））：6万9308円（1人分※1）
- 厚生年金：23万2784円（夫婦2人分※2）
※1 昭和31年4月1日以前生まれの方の老齢基礎年金（満額１人分）は、月額6万9108円（対前年度比＋1300円）です。
※2 男性の平均的な収入（平均標準報酬（賞与含む月額換算）45万5000円）で40年間就業した場合に受け取り始める年金（老齢厚生年金と２人分の老齢基礎年金（満額））の給付水準です。
3年連続の引き上げですが、「マクロ経済スライド（※）」の発動により、物価上昇率を下回る改定率となっています。実質的には年金額は目減りしている、つまり、年金額は物価上昇に追い付けていないということです。
※マクロ経済スライドとは：「公的年金被保険者（年金保険料を払う現役世代の数）の変動」と「平均余命の伸び」に基づいて設定される「スライド調整率」を用いて、その分を賃金と物価の変動がプラスとなる場合に改定率から控除するしくみ
6. まとめ
ここまで、老後の暮らしや住まいに関する「リアルなお金事情」について解説しましたが、いかがでしたでしょうか。
65歳以上の無職夫婦世帯における家計収支は平均で《毎月約3.4万円》の赤字となっており、公的年金のみで過ごすには厳しい状況にあることがわかりました。
65歳以上の「持ち家率」は全体で84.5%となっており、家賃などの負担は少ないことが考えられます。
しかしその一方で、固定資産税や修繕費用など、持ち家ならではの支出もあるでしょう。
公的年金の平均月額は、国民年金5万円台、厚生年金14万円台～16万円台です。
公的年金の受給額には個人差があるため、ご自身の年金見込み額は「ねんきん定期便」や「ねんきんネット」で確認するとよいでしょう。
今回ご紹介した、老後の暮らしや住まいに関する「リアルなお金事情」を参考に、老後の生活設計を立ててみてはいかがでしょうか。
参考資料
- 総務省統計局「家計調査報告（家計収支編） 2024年(令和6年)平均結果の概要」
- 総務省統計局「家計調査報告（貯蓄・負債編）－2024年（令和6年）平均結果－（二人以上の世帯）」
- 内閣府「令和5年度 高齢者の住宅と生活環境に関する調査結果」第2章 調査結果の概要 -3 3．住宅の状況
- 厚生労働省年金局「令和5年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」
- 厚生労働省「令和7年度の年金額改定についてお知らせします～年金額は前年度から 1.9％の引上げです～」
安達 さやか
