2025年5月23日に総務省より公表された「2020年基準 消費者物価指数 全国2025年(令和7年)4月分」にて、総合指数は111.5、前年同月比は3.6%の上昇となりました。
食料品を中心とした物価上昇の影響が続き、生活必需品を中心とした継続的なインフレ傾向が見られます。
こうした物価上昇は、年金収入を主な生活資金とするシニア世代にとって、大きな負担となりつつあります。
とくに60~70歳代では、退職後の収入が減少する一方で生活費は増加傾向にあり、十分な貯蓄や備えがなければ、老後貧乏に陥るリスクも否定できません。
本記事では、60歳代と70歳代の貯蓄額の平均と中央値を紹介し、後半では豊かな老後を迎えるための3つの備えについて紹介します。
1. 【60歳代・二人以上世帯】貯蓄額はいくら?
まずは金融経済教育推進機構が公表した「家計の金融行動に関する世論調査 2024年」に基づき、60歳代・二人以上世帯の金融資産保有額の割合や平均額、中央値を見ていきましょう。
※貯蓄額には、日常的な出し入れ・引落しに備えている普通預金残高は含まれません。
【60歳代・二人以上世帯の金融資産保有額の割合】
- 金融資産非保有:20.5%
- 100万円未満:6.5%
- 100~200万円未満:5.3%
- 200~300万円未満:3.7%
- 300~400万円未満:3.1%
- 400~500万円未満:3.1%
- 500~700万円未満:6.3%
- 700~1000万円未満:5.3%
- 1000~1500万円未満:8.9%
- 1500~2000万円未満:5.8%
- 2000~3000万円未満:8.0%
- 3000万円以上:20.0%
- 無回答:3.6%
金融資産を3000万円以上保有している世帯が20.0%存在する一方で、金融資産をまったく保有していない世帯も20.5%にのぼることがわかります。
60歳代の世帯において、資産状況に大きな格差があることを示しています。
1.1 【60歳代・二人以上世帯】貯蓄額の平均・中央値はいくら?
60歳代・二人以上世帯の金融資産の平均額と中央値は、下記のとおりです。
- 平均額:2033万円
- 中央値:650万円
平均値とは、全世帯の金融資産額を合計し、世帯数で割った値です。
一方、中央値は全世帯を金融資産額の順に並べた際の中央値を指します。
平均値は一部の高額資産保有世帯によって引き上げられる傾向があるため、実際の世帯の状況を把握するには、中央値の方が参考になる場合があります。