2025年度の年金額は、前年度より1.9%引き上げとなりました。

年金額は賃金や物価の変動を背景に毎年度見直しが行われており、増額改定は3年度連続となっています。

ただし、マクロ経済スライド調整により、増額改定率は物価の上昇率を下回る水準。実質的には「増額」とはいえず、目減りとなっています。

くわえて、2025年は前年より強い勢いで値上げが続いています。年金額が引き上げられても、これを大きく上回るペースで物価が上昇しているため、「年金額アップ」を肌で感じることは難しいかもしれません。

なお、一定の要件を満たす基礎年金を受けとる人に支給される「年金生活者支援給付金」も給付額が前年度から2.7%増額となっています。

本記事では、年金生活者支援給付金について、支給要件や給付額、申請方法を解説していきます。

1. 老齢年金「国民年金・厚生年金」受給額は個々でバラバラ…

最初に、老後に受給する年金について解説します。

厚生労働省年金局「令和5年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」から、国民年金と厚生年金の受給状況を見てみましょう。グラフの受給額分布から、個人差や男女差に着目してください。

国民年金・厚生年金の年金月額

厚生年金の平均額(全年齢)

出所:厚生労働省年金局「令和5年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」をもとにLIMO編集部作成

 

【国民年金】平均年金月額

  • 〈全体〉平均年金月額:5万7584円
  • 〈男性〉平均年金月額:5万9965円
  • 〈女性〉平均年金月額:5万5777円

【厚生年金】平均年金月額

※国民年金部分を含む

  • 〈全体〉平均年金月額:14万6429円
  • 〈男性〉平均年金月額:16万6606円
  • 〈女性〉平均年金月額:10万7200円

国民年金の場合、全体、男女ともに平均月額は5万円台です。厚生年金の平均月額は全体で14万円台でした。男女別にみると男性は16万円台、女性は10万円台です。

ただし上記はあくまでもそれぞれの平均額。グラフが示す通り、国民年金の受給権者だけではなく、厚生年金の受給権者の中にも、月額5万円未満となるような低年金の人が一定数存在します。

年金とその他の所得を含めても、一定基準以下の低所得となる場合「年金生活者支援給付金」の支給対象となるかもしれません。この制度について、次で詳しく見ていきます。