5. 【家計管理の役立つ知識】エンゲル係数とは？

先ほどの65歳以上の夫婦の家計簿にも登場した「エンゲル係数」。なぜ家計の状況を知る上で参考になるのか、改めて解説していきます。

エンゲル係数とは、家計の消費支出（いわゆる生活費）に占める食費の割合を示す指標のこと。計算式は非常にシンプルです。

エンゲル係数=食費÷消費支出×100(%)

例えば、ある月の消費支出が10万円で、そのうち食費が3万円だった場合、エンゲル係数は (3万円÷10万円)×100=30% となります。

一般的に、エンゲル係数が高いほど、家計に占める食費の割合が高く、生活水準が低い傾向にあります。これは、所得が低いほど、生活に必要な食費が支出全体に占める割合が大きくなるためです。

逆に、所得が高くなるにつれて、食費以外の教育費、娯楽費、交通費など、より多様な支出が増えるため、エンゲル係数は低くなる傾向があります。

ただし、年代や世帯構成によって食費の占める割合は自然と変わってくるため、注意が必要です。

例えば、子育て世帯では、成長期の子どものために食費がかさむ傾向があり、エンゲル係数が高くなることがあります。一方、高齢者の単身世帯では、食費の絶対額は少なくても、他の支出も抑えられている場合はエンゲル係数が高くなることもあります。

エンゲル係数が急に上昇した場合、食費が増えすぎているのか、あるいは他の支出を抑えざるを得ない状況になっているのかなど、支出について気にしてみましょう。

6. 老後に考えられるリスクにも備えよう

近年では、60歳を過ぎても働き続ける人が増えており、政府も65歳までの雇用確保を推進しています。

一方で、将来的に大きな病気を患う可能性や、介護が必要になるリスクについても、あらかじめ備えておくことが重要です。

老後の生活費や医療費、介護費を年金収入と貯蓄で賄うことができれば問題ありませんが、それだけ十分な貯蓄を確保しているという人は少数派かもしれません。

不足する部分に関しては、民間の医療保険や介護保険を利用することもできます。ただし、保険に加入しすぎてしまうと、毎月の保険料が家計の負担になってしまう恐れもあります。

収入と支出のバランスや、保障内容と保険料が見合っているかを確認してから決めることが大切です。

参考資料

橋本 優理