4. 【老後の生活事情】65歳以上無職夫婦世帯「ひと月の生活費」は約26万円！？
4.1 65歳以上無職夫婦世帯の平均収入は？
■うち社会保障給付（主に年金）22万5182円
4.2 65歳以上無職夫婦世帯の平均支出は？
■うち消費支出：25万6521円
- 食料：7万6352円
- 住居：1万6432円
- 光熱・水道：2万1919円
- 家具・家事用品：1万2265円
- 被服及び履物：5590円
- 保健医療：1万8383円
- 交通・通信：2万7768円
- 教育：0円
- 教養娯楽：2万5377円
- その他の消費支出：5万2433円
- 諸雑費：2万2125円
- 交際費：2万3888円
- 仕送り金：1040円
■うち非消費支出：3万356円
- 直接税：1万1162円
- 社会保険料：1万9171円
4.3 65歳以上無職夫婦世帯の平均的な家計収支は？
- ひと月の赤字：3万4058円
- エンゲル係数（※消費支出に占める食料費の割合）：29.8%
- 平均消費性向（※可処分所得に対する消費支出の割合）：115.3％
この夫婦世帯の毎月の収入は約25万2818円で、そのうち約9割にあたる22万5182円が公的年金や社会保障給付からのものです。
一方で、支出の合計は28万6877円にのぼり、その内訳は生活費が25万6521円、税金や社会保険料などの非消費支出が3万356円となっています。
結果として、この世帯では毎月約3万4058円の赤字が発生しており、この不足分は主に貯蓄の取り崩しで賄われることが多いでしょう。
公的年金だけでは生活費を賄いきれず、私的年金や家族からの支援で補っているケースもありますが、家計のやりくりに苦労するシニア世帯は少なくありません。
さらに、物価の上昇や円安の影響で、今後もシニア世帯の経済的負担は一層増える可能性が高いと考えられます。
5. まとめにかえて
今回は、現シニア世代の年金生活の実態を把握すべく、「貯蓄額・年金額・生活費」の平均値を確認しました。
現段階で把握できるものとして、年金受給見込額は「ねんきん定期便」や「ねんきんネット」で確認できます。
しかし、日々の生活費については、ご自身で家計を整理しなければ正確な把握は難しいものです。
筆者がファイナンシャルアドバイザーとしてお金のご相談を受ける中で、「毎月の生活費を見直したいけれど、どこから手をつけたらいいのかわからない」という声を本当によく耳にします。
ライフステージによって必要となるお金の種類や性質は変わるため、一度整理したから終わり、というわけではありません。節目ごとに定期的な見直しを行うことが大切です。
特に保険料は、年齢やご家族の状況に応じて必要な保障が変化していくものですから、こまめなチェックをおすすめします。
将来に向けた貯蓄を考える上で、まずはこの機会に毎月の生活費の見直しから一歩踏み出してみてはいかがでしょうか。
参考資料
- 金融広報中央委員会「家計の金融行動に関する世論調査（2024年）」
- 厚生労働省年金局「令和5年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」
- 総務省「家計調査報告 家計収支編 2023年（令和5年）平均結果の概要」
- 厚生労働省「生活保護の被保護者調査（令和７年２月分概数）の結果を公表します」
奥野 友貴
