2. 【仕事関連】申請しないともらえない「公的なお金」3つ

働く意欲のあるシニアを支える制度は徐々に充実してきていますが、60歳を境に収入が減少する人も多く、再就職も年齢の影響で思うようにいかない場合があります。

そこでここからは、「申請しなければ受け取れない公的なお金」の中でも、シニア世代の就労と特に関わりの深い制度を3つ紹介します。

2.1 仕事関連1:再就職手当(65歳未満)

再就職手当は、できるだけ早期に再就職する人を支援する目的で設けられている制度です。

失業状態から再就職あるいは自営業などで事業を開始するまでの期間が短いほど、支給される金額が高くなる仕組みとなっています。

  • 対象者:雇用保険受給資格者で基本手当の受給資格がある人
  • 支給要件:対象者が雇用保険の被保険者となる、または事業主となって雇用保険の被保険者を雇用する場合で、基本手当の支給残日数(就職日の前日までの失業の認定を受けた後の残りの日数)が所定給付日数の3分の1以上あり、一定の要件に該当する場合に支給
  • 手当の額:就職等をする前日までの失業認定を受けた後の基本手当の支給残日数により下記のとおり給付率が異なる

所定給付日数のうち、3分の1以上を残して就職した場合には「支給残日数の60%」が、さらに3分の2以上を残して就職した場合には「支給残日数の70%」が再就職手当として支給されます。※支給額の計算では、1円未満の端数は切り捨てとなります。

再就職手当の額

再就職手当の額

出所:厚生労働省「再就職手当のご案内」

【再就職手当の金額】ケース1

  • 基本手当日額:4000円
  • 所定給付日数:270日
  • 就職:受給資格決定日以後50日目

参考までに、上記の表と照らし合わせながら見ていきましょう。

  • 基本手当の支給残日数は228日(待機期間が受給資格決定日を含めて7日となる)→給付率は70%
  • 再就職手当=4000円×228日×70%=63万8400円

【再就職手当の金額】ケース2

  • 基本手当日額:4000円
  • 所定給付日数:270日
  • 就職:受給資格決定日以後100日目

こちらも同様に、上記の表と照らし合わせて計算していきます。

  • 基本手当の支給残日数は178日(待機期間が受給資格決定日を含めて7日となる)→給付率は60%
  • 再就職手当=4000円×178日×60%=42万7200円

2.2 仕事関連2:高年齢雇用継続基本給付

高年齢雇用継続給付は、60歳以上65歳未満の方が引き続き働く際に、60歳時点と比べて賃金が下がった場合、その減少を補う目的で支給される制度です。

なお、この給付金については、2025年4月から支給額が段階的に引き下げられているため、今後の制度変更にも注意が必要です。

  • 対象者:雇用保険の被保険者期間が5年以上ある60歳以上65歳未満の雇用保険の被保険者
  • 支給要件:賃金が60歳時到達時の75%未満
  • 支給額:最高で賃金額の10%相当額(2025年4月から)
  • 申請先:在職中の事業所を管轄するハローワーク

【早見表】高年齢雇用継続給付

【早見表】高年齢雇用継続給付

出所:厚生労働省「Q&A~高年齢雇用継続給付~」

なお、老齢年金を受け取りつつ厚生年金に加入し、「高年齢雇用継続給付」を受ける場合は、在職による年金の一部停止に加えて、最大で標準報酬月額の6%にあたる給付も停止される可能性があるため、その点にも注意しましょう。