生活が困窮している方に対し、その困窮度合いに応じて必要な支援が受けられる生活保護制度があります。生活保護支給の対象になると、最低限度の生活を送ることが可能になります。
しかし、生活保護を受給することにより、さまざまな制限がかかってしまい、知らなかった場合後悔することになるかもしれません。また、受給に際して注意すべき点もあります。
本記事では、生活保護を受給する際のさまざまな制約や、受給中の注意点などについて解説していきます。
1. 「生活保護」を申請する前にチェックしておきたいリアルな現実5つ
生活保護を受給した場合のデメリットとして、次の5つが挙げられます。
- 資産の所有が制限される
- 貯蓄が制限される
- 高価なものの所有が制限され贅沢はできない
- 住む場所が制限される
- 身内に生活保護を申請したことが知られてしまう
受給後に後悔しないよう十分理解しておきましょう。
1.1 資産の所有が制限される
生活保護を受給中は、所有できる資産が一定以下に制限されます。そもそも、生活保護を受給するには、所有している資産を資金化して生活費に充てることが条件となっています。
資産の例として、使用していない土地や家屋・自動車・貴金属・一定以上の預貯金・生命保険・有価証券などがあります。
なお、自動車は公共交通機関の利用が難しい方や障害者の方など、一定の要件を満たした場合は利用可能とされています。
1.2 貯蓄が制限される
生活保護受給中は、貯蓄できる金額にも制限があります。受給中も貯蓄をすること自体は禁止されていませんが、始めるにあたってはケースワーカーに相談するのがおすすめです。
高額な貯蓄ができると、生活保護の必要性が疑問視されたり、生活保護の不正受給の疑いを持たれる可能性があるため、貯蓄の目的や金額などをケースワーカーと共有すると良いでしょう。
1.3 高価なものの所有が制限され贅沢はできない
生活保護は、生活に困窮している方が最低限度の生活を送れるよう保障するための制度です。そのため、高級バッグや時計、宝飾品といった高価なものの所有は認められていません。
高価なものを所有していることがケースワーカーなどに見つかると、指導を受けたり生活保護を打ち切られたりする可能性があります。
1.4 住む場所が制限される
生活保護には8種類の扶助があり、家賃の支払いのためには「住宅扶助」が支給されます。住宅扶助の金額は、住んでいる地域や世帯人数により異なり、都市部ほど高額になっているのが一般的です。
生活保護受給中は、住宅扶助の金額内の物件に住む必要があり、扶助金額を超える物件には住めないため、好きなエリアに住めない可能性があります。
1.5 身内に生活保護を申請したことが知られてしまう
生活保護を申請すると、いくつか調査が行われますが、その中に親族への扶養照会があります。原則として3親等以内の親族に対し、扶養できるか否かを書面で確認するために行われるものです。
3親等以内の親族とは、父母や子ども、祖父母や孫、兄弟姉妹、叔父や叔母、甥や姪などが該当します。
親族に内緒で受給申請しても、扶養照会が送付されることで知られてしまうことになります。