3. 高齢者世帯に生命保険や医療保険は不要
後期高齢者の方にとって、生命保険や医療保険は不要であるケースがほとんどです。
家計を楽にするためにも、不要な保険の解約を検討しましょう。
そもそも、保険は「滅多に起こらないが、もし起こってしまうと自分や家族の人生が台無しになる」というリスクに備えるものです。
75歳以上であれば、すでに子どもも独立している家庭がほとんどと考えられるため、死亡リスクに備える必要性は小さいでしょう。
そのため、生命保険に加入し続けている方は、保険料を無駄に払っている状況といえます。
民間の保険会社が取り扱っている医療保険は、公的な医療保険ではカバーされない差額ベッド代や交通費などを補填する保険です。
所定の条件に該当したとき、入院給付金や手術給付金などが支払われるため、一見すると高齢期になるほど必要性が高くみえます。
しかし、医療保険も不要であるケースがほとんどです。後期高齢者医療保険制度で窓口の自己負担割合を抑えられるうえに、公的医療保険ではカバーされない支出に関しても、100万円程度の預貯金があればおおむねカバーできるためです。
つまり、入院や手術は「滅多に起こらないが、もし起こってしまうと自分や家族の人生が台無しになる」というリスクではありません。
むしろ、支払っている保険料を貯金としてプールしておき、さまざまな用途で使えるように備えたほうが合理的といえるでしょう。
4. まとめにかえて
日本の人口動態を考えると、今後も社会保険を維持するための負担増は避けられないでしょう。
国民健康保険・健康保険・後期高齢者医療保険など、すべての公的医療保険制度で、保険料の上昇が続くと考えられます。
保険料が上昇するとはいえ、公的な医療保険は優れた社会保険制度です。
窓口の自己負担割合を抑え、高額療養費制度をはじめとした医療費負担に上限を設ける仕組みもあります。
公的な医療保険制度が優れていること、また保険の本質が「滅多に起こらないが、もし起こってしまうと自分や家族の人生が台無しになる」というリスクに備えるものという点を踏まえると、民間の医療保険は不要であるケースがほとんどです。
医療保険に加入している方は、「本当に必要かどうか」を冷静に考えたうえで、解約も検討するとよいでしょう。
参考資料
- 政府広報オンライン「後期高齢者医療制度 医療費の窓口負担割合はどれくらい?」
- 厚生労働省「後期高齢者医療制度の令和6・7年度の保険料率について」
- 厚生労働省「後期高齢者医療制度の運営主体」
- 公益財団法人生命保険文化センター「主契約の種類」
柴田 充輝