「iPhone減産」を裏付けた米ルメンタムの下方修正

決算発表から10日あまり、“最大顧客”のリスク顕在化

18年新機種モデルのなかでも売れ筋と目されていた「XR」の減産報道のインパクトは大きい

 光デバイスメーカーのLumentum Holdings Inc.(ルメンタム、米カリフォルニア州)は、2019会計年度第2四半期(18年10~12月)の業績予想について、売上高を当初計画していた4.05億~4.3億ドルから3.35億~3.55億ドルに下方修正すると発表した。「3Dセンシング用レーザーダイオードの最大顧客から10~12月期中に出荷予定だった受注の大幅な削減要求を受けたため」とだけ説明しているが、業界内ではこの最大顧客とはアップルで、iPhone 18年モデルの減産報道を裏付けるものだと理解されている。

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iPhone XからVCSELの供給を開始

 Lumentumは、17年に発売されたiPhone Xに顔認証システム「Face ID」の光源としてVCSEL(垂直共振器面発光レーザー)を供給した。アップルによると、Face IDは3万以上のドットをVCSELで顔に投射し、顔の深度マップを作成して正確なデータを読み取り、赤外線イメージも取り込んで、個人の顔の形状を正しく読み取ることができる。誤認識率は、指紋認証を用いたTouch IDの5万分の1に対して100万分の1と非常に低い。

 Lumentumは、17年1~3月期の決算発表で「VCSELの受注を数百万台分得ている」とコメントし、17年4~6月期に500万ドル分のVCSELを出荷。これにより、VCSELが含まれる民生・産業用オプトデバイス分野の売上高を大きく伸ばし、17年7~9月期には同分野の売上高は前四半期の1650万ドルから5200万ドル超へ3倍以上に伸びた。

 iPhone Xが発売された17年10~12月期には売り上げをさらに伸ばし、民生・産業用オプトデバイス分野は前四半期比で4倍以上となる約2.2億ドルを売り上げた。このうち2億ドル強が3Dセンシング向けだった。

アップルが売上高の3割占める最大顧客に

 18年に入ると、iPhone Xの販売が低迷したことによって、3Dセンシング用VCSELの売上高は減少した。18年1~3月期の民生・産業用オプトデバイス分野の売上高は前四半期の2.2億ドルから8750万ドルへ減少。18年4~6月期は同7750万ドルと減少が続いたが、VCSELの出荷が再び本格化しつつあり、年末に向けて出荷が伸びていく見通しだと述べていた。

 こうしたアップル向けのVCSEL需要増加によって、18会計年度(17年7月~18年6月期)の業績において、民生・産業用オプトデバイス分野の売上構成比は17年度の5%から35%に急上昇し、アップルが売上高の30%を占めるトップ顧客になった。

当初の説明では10~12月期も増収予想

 Lumentumが今回の売り上げ見通しの下方修正を公表したのは11月12日。11月1日に18年7~9月期の決算を発表してから10日あまりで7000万ドルも見通しを引き下げることになった。18年7~9月期の民生・産業用オプトデバイス分野の売上高は、前四半期比72%増/前年同期比2.5倍の1.33億ドルを売り上げるなど好調で、「18年10~12月期は7~9月期よりも売り上げが伸びる見通し」と説明したばかりだった。

 一方、iPhoneに関しては「18年モデルのiPhone XRの販売が不振で、四半期ベースで400万~500万台減産する」「台湾のEMS企業にiPhone XRの増産中止を要請した」「17年モデルのiPhone Xに堅調な需要があり、アップルはiPhone Xの追加生産を急いでいる」といった報道が出ている。

電子デバイス産業新聞 編集長 津村 明宏

参考記事

ニュースレター

津村 明宏

1995年3月 関西大学 経済学部卒。1999年3月 ㈱産業タイムズ社に入社。
電子デバイス業界の専門紙である電子デバイス産業新聞(旧・半導体産業新聞)の記者として、2007年より副編集長、2009年12月より編集長