1. 日経平均は続伸し3万7000円台を回復

2025年5月9日の東京株式市場で、日経平均株価の終値は前日比574円70銭高の3万7503円33銭となりました。続伸です。3万7000円台を終値ベースで回復するのは3月28日以来です。

米英両政府が8日、2国間の貿易協定を締結することに合意したと発表しました。英国車の関税が軽減されました。また、中国に課している145%の関税を50%まで引き下げることを検討しているとも伝わったことから、貿易摩擦が高まることへの懸念が弱まり、投資家の間にリスクテイクの動きが広がりました。9日の東京外国為替市場で円相場が一時1ドル=146円台まで円安・ドル高が進んだこともあって、トヨタやホンダなどの自動車、機械など輸出関連銘柄も買われました。

今週、日経平均はどのような動きになるでしょうか。9日の米株式市場でダウ工業株30種平均は、前日比119ドル07セント安の4万1249ドル38セントで終えています。3日ぶりの反落です。関税交渉をめぐる進展への期待から前日におよそ1カ月ぶりに高値を付けており、利益確定の売りも出やすい局面でした。

日本時間12日未明までスイスで関税をめぐる米中協議が行われていました。ベッセント米財務長官は「確かな進展があった」と語り、トランプ米大統領も自身のSNSで「多くの合意に至った」と投稿しています。こういったことから、米中摩擦の緩和期待感が高まり、東京市場でも買われる展開になりそうです。

ただ、中長期的に見ると楽観はできません。英国車に対する関税は軽減されましたが、日本車への対応は不透明です。また、トランプ氏は、輸入する航空機やエンジンなどへの追加関税を視野に入れているとされ、日本の航空機部品メーカーなど関連企業の業績に影響が出そうです。

今週も国内大手企業の決算が相次いで行われます。12日にはアサヒグループHD、ENEOSホールディングス、資生堂、スズキ、三菱地所。13日にはソフトバンクグループ、ソニーグループ、日産自動車、ホンダ。14日には京セラ、KDDI、三井住友フィナンシャルグループ、楽天グループ。15日にはすかいらーくHD、第一生命HD、電通グループ、ブリヂストン、みずほFGなどの決算が発表されます。

米中摩擦の緩和期待感が高まり、東京市場でも買われる展開になりそうです。ただ、中長期的には楽観はできません。

日経平均株価

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