物価上昇が続く中、収入は増えているように見えても、実際に使える「手取り」は減少傾向にあります。さらに支出は増えており、気づけば貯金ができない──そんな家庭が増えています。総務省の家計調査をもとに、今の家計の現状をひもときつつ、将来の安心につなげるために取り入れたい「先取り貯蓄」の方法をわかりやすく紹介します。

1. 手取り減×支出増で貯金できない時代に。どう備える?

まず、2025年5月9日に公表された総務省統計局「家計調査報告」の勤労者世帯の収支の内訳をみていきましょう。

勤労者世帯の収支の内訳(2025年3月-二人以上の世帯のうち勤労者世帯)

出所:総務省統計局【報道資料「家計調査報告」の変更について】

こちらの表からわかることをポイント解説していきます。

1.1 実収入は「名目は増えても、実質は減っている」状況

実収入について、名目(物価を考慮しない)は+2.1%増加だが、実質(物価の影響を反映)は▲2.0%の減少
→ 物価上昇の影響で、生活実感としては苦しくなっていることがわかります。

1.2 可処分所得(手取り)も実質減

名目では+1.6%増えているが、実質では▲2.5%減少している
→実際に使えるお金が減っていることがわかります。

1.3 消費支出は逆に増えている

名目では+8.2%、実質は2か月ぶりの増加で+3.8%
→家計は苦しくても支出せざるを得ない状況が続いていることがわかります。

以上をまとめると、

収入は増えているようで実質的には減少し、支出はむしろ増加しています。結果として貯蓄に回す余裕がどんどん減っている状況だということがわかります。

このため、効果的な貯蓄を生活に支障が起きない程度で、可能な限り続けることが必要です。

そんな貯蓄について2つの方法があるのはご存じでしょうか。

「先取り貯蓄」と「余ったら貯金」です。ひとつずつ確認していきましょう。