2025年度の年金額は、1.9%の増額改定となりました。年金支給は偶数月の年6回であるため、増額された年金額のうち、4月分と5月分は6月に支給されています。

そして、8月15日には増額分の2回目となる6月分と7月分の年金が支給されました。

お盆期間は何かと出費がかさむため、年金支給日を心待ちにしていた方もいるでしょう。

今回の増額は朗報ですが、年金だけでゆとりのある生活を送るには十分とはいえないのが実情です。

この記事では、増額後の年金額について詳しく解説するとともに、厚生年金を受け取っている方の平均受給額についても見ていきます。

年金を「ひと月15万円」受け取っている人が半数以下であるというデータから、将来に向けた対策の重要性も探っていきます。

1. 知っている?「日本の公的年金は2階建て」

日本の公的年金制度は「国民年金(基礎年金)」と「厚生年金」から成り立つ2階建て構造となっています。

厚生年金と国民年金の仕組み

厚生年金と国民年金の仕組み

出所:日本年金機構「公的年金制度の種類と加入する制度」等を参考にLIMO編集部作成

1.1 【1階部分】国民年金

  • 加入対象:原則として日本に住む20歳から60歳未満のすべての人
  • 年金保険料:全員定額、ただし年度ごとに改定される(※1)
  • 老後の受給額:保険料を全期間(480カ月)納付した場合、65歳以降で満額の老齢基礎年金(※2)を受給できる。未納期間分に応じて満額から差し引かれるしくみ。

※1 国民年金保険料:2025年度月額は1万7510円
※2 国民年金(老齢基礎年金)の満額:2025年度月額は6万9308円

1.2 【2階部分】厚生年金

  • 加入対象者:会社員や公務員、またパートで特定適用事業所(※3)に働き一定要件を満たす人が、国民年金に上乗せで加入
  • 年金保険料:収入に応じて(上限あり)決定される(※4)
  • 老後の受給額:加入期間や納付済保険料により、個人差が出る

2階部分の厚生年金は、会社員や公務員が国民年金に上乗せして加入します。国民年金と厚生年金では、加入対象や年金保険料の決定方法、そして受給額の計算方法などが異なります。

そのため、老後に受け取る年金額にも、その方の加入状況や収入によって差が生まれます。

また、公的年金額は物価や現役世代の賃金の変動に応じて毎年度見直される仕組み(スライド調整など)となっている点も重要なポイントです。

次章では、2025年度(令和7年度)の年金額を見ていきましょう。

※3 特定事業所:1年のうち6カ月間以上、適用事業所の厚生年金保険の被保険者(短時間労働者は含まない、共済組合員を含む)の総数が51人以上となることが見込まれる企業など
※4 厚生年金の保険料額:標準報酬月額(上限65万円)、標準賞与額(上限150万円)に保険料率をかけて計算されます。