2025年より、物価の上昇による家計への負担を和らげるため、「住民税非課税世帯」を対象に1世帯あたり3万円の給付が行われていることをご存じでしょうか。

住民税非課税世帯に対する現金給付は、これまでにも複数回実施されており、加えて現金支給以外にもさまざまな支援策が用意されています。

では、具体的に住民税非課税世帯が受けられる「優遇措置」にはどのようなものがあるのでしょうか。

本記事では、住民税非課税世帯に該当するための要件を紹介するとともに、利用可能な支援策について詳しく解説していきます。

1. そもそも「住民税非課税世帯」とは?どんな世帯が該当する?

まず初めに、「住民税非課税世帯」とはどのような世帯を指すのかを整理しておきましょう。

住民税には、全員に一律で課される「均等割」と、所得額に応じて課税される「所得割」の2つの要素があります。

これらのうち、世帯全員が「均等割」と「所得割」のいずれも課税されていない場合、その世帯は「住民税非課税世帯」として扱われます。

上記を言い換えれば、住民税非課税世帯に該当する場合には、住民税を支払う必要がなくなるということになります。

ただし、非課税となる具体的な基準は各自治体によって異なるため、次章では東京都港区のケースを例に、要件を詳しく見ていきましょう。

1.1 「住民税非課税世帯」に該当するための世帯要件(港区のケース)

東京都港区の場合の、住民税非課税世帯に該当するための要件は以下のとおりです。

  1. 生活保護法の規定による生活扶助を受けている人
  2. 障がい者、未成年者、寡婦またはひとり親で、前年の合計所得金額が135万円以下(給与所得者の場合、年収204万4000円未満)である人
  3. 前年の合計所得金額が一定の所得以下の人

多くの自治体で、住民税が課税されない世帯の条件には「前年の合計所得が所定の基準を下回っていること」が含まれています。

ただし、ここでいう「所得」とは、単純な年収ではなく、年収から各種控除を差し引いた後の金額を指すため、少しわかりにくいと感じる方もいるかもしれません。

次章では、住民税非課税世帯に該当する「年収のおおよその目安」についてもあわせて紹介していきます。

1.2 「住民税非課税世帯」に該当するための年収目安(港区のケース)

東京都港区の場合、住民税非課税世帯に該当するための年収目安は以下のとおりです。

住民税非課税世帯に該当するための年収目安

住民税非課税世帯に該当するための年収目安

出所:港区「住民税(特別区民税・都民税)はどういう場合に非課税になりますか。」

  • アルバイトやパートの給与収入が100万円以下
  • 65歳以上で年金受給のみの人は、年金収入が155万円以下
  • 65歳未満で年金受給のみの人は、年金収入が105万円以下

「給与による収入」と「年金による収入」では、所得が45万円以下と判定される収入額の目安が異なる点に注意が必要です。

では、こうした住民税非課税世帯が利用できる各種の優遇措置には、具体的にどのようなものがあるのでしょうか。