4. 繰上げ受給には「減額」以外のデメリットも?

では最後に、繰上げ受給の減額以外のデメリットについても確認しておきましょう。

繰上げ受給の減額以外のデメリットは下記のとおりです。

  • 国民年金の任意加入や保険料の追納ができなくなる
  • 共済組合からの年金も繰上げ受給となる
  • 高年齢雇用継続給付や雇用保険の基本手当との併給制限がある
  • 他の年金(遺族厚生年金や遺族共済年金など)との併給制限がある
  • 寡婦年金の権利が喪失される
  • 障害年金の請求が不可となる場合もある

特に、60歳以降も働き続ける場合や遺族年金を受け取っている場合など、家庭や個人の状況によっては繰上げ受給の選択が「損」になる可能性があります。

そのため、繰上げ受給を選択する前に、上記のデメリットを十分に考慮して、慎重に判断することが重要になるでしょう。

5. 自分の年金見込額でシミュレーションをしてみよう

本記事では、繰上げ受給の選択が将来的にどのような影響をもたらすのかについて解説していきました。

今回のシミュレーションでは、厚生年金の平均月額「14万円」を使って試算しましたが、実際の年金額は個々の状況によって異なります。

年金額によって繰上げ受給時の損益分岐点も異なるため、受給開始時期を決定する際は、まずご自身の年金見込み額をもとにシミュレーションを行うことが大切です。

自分の将来の年金額は、「ねんきんネット」や「ねんきん定期便」で確認できるので、シミュレーションを行う前にそれらをチェックしてみましょう。

参考資料

和田 直子