多様化する働き方~働き方改革の動きや企業の取組みについて理解しよう~

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はじめに

最近、新聞やテレビなどのメディアで「働き方改革」という言葉がよく取り上げられるようになりました。

以前の日本では、新卒で入社してから定年まで同じ企業で働く終身雇用が一般的でしたが、多様化する働き方の中で「転職や起業も当たり前」という風潮が一般的となりつつあります。この記事では、多様な働き方が求められる現代社会の中でどのような働き方が生まれてきているのか、また政府や企業が多様化する働き方にどのように対応しているのかについて、みてみたいと思います。

目次

1. 働き方の変化を知ろう
2. 雇用形態から働き方の種類を理解しよう
3. 多様化する働き方を知ろう
4. 働き方改革とは一体何か
5. 現状の働き方を見直してみよう
6. 働き方改革の事例を知ろう
7. 働き方改革で女性が働きやすくなるのか

1. 働き方の変化を知ろう

「働き方」あるいは「ワークスタイル」という言葉は、単に仕事の選び方や進め方を表しているのではありません。ワークライフバランスという言葉に表されるように、「仕事とプライベートとの両立を実現するためにはどうすれば良いのか」という意味も含まれています。

この数年間で、働き方に対する考え方は大きく変化しました。かつて日本では「正社員」であることが普通とされていました。しかし、最近では、「定職を持たずフリーターとして働きたい」と考える人や、「本業以外に副業で稼ぐ」という人も多く見られるようになってきています。このように、働き方ひとつとっても、さまざまな価値観や多様性が生まれてきているといえるのです。

また、眠らない街とも呼ばれる都市が広がったことやグローバル化の影響を受けて、24時間体制で働く職種が増えたことも、働き方の変化に影響を与えています。これに伴い、企業の労働条件に対する要求も、労働者個人のライフスタイルに対する希望も大きく変化しているといえるでしょう。

今や個人が自分の希望に応じて適切な働き方を選ぶ時代になっているのです。

2. 雇用形態から働き方の種類を理解しよう

一般的によく知られた雇用形態として、正規雇用労働者、非正規雇用労働者、パートタイム労働者やアルバイトのような短時間労働者、派遣労働者などといったものがあります。これら雇用形態の違いによって働き方にどのような違いが生じるのでしょうか。

正規雇用労働者(正社員)

雇用契約に期間の定めがなくフルタイムでの勤務を原則としています。正規雇用は安定して比較的高い水準の収入が得られるのがメリットですが、時間的拘束は大きく、責任ある仕事に従事することが求められます。

非正規雇用(契約社員・パート・アルバイト・派遣社員)

契約社員は雇用契約上で期間の定めがあるのが特徴で、一般的にはフルタイム勤務になっています。勤務時間が重ならなければダブルワークもできますが、賃金は正規雇用に比べてやや低い水準となっていることが多いといえます。

パートとアルバイトは厳密には区別されていませんが、他の雇用形態と比べて勤務時間が短めで、勤務日も少ないという点が特徴といえます。時給制で働くことが多く、給料はあまり高くはありません。しかし、時間的に自由度が高いため、プライベートを優先した働き方をしやすいという点が特徴といえます。

なお、派遣社員も非正規雇用ですが、派遣会社から派遣されて就労するという「間接雇用」という点で、上記の3つとは異なります。派遣先から残業などを命じられても断わることができるというメリットがあるものの、短期間で派遣先が変更になってしまう、継続的に安定して仕事を続けていける保障がないなどのデメリットもあります。

3. 多様化する働き方を知ろう

雇用形態は、今後さらなる多様化が進んでいく可能性があります。

たとえば副業。現在、多くの企業では、就業規則で正規社員の副業を禁止していますが、これをやめ、副業を認める企業も徐々に増えつつあります。これは、週休3日など、勤務時間が従来より緩やかな待遇の正規社員が増えてきている業界も多く、余暇を使って副業をしたいという声が強まっているためです。特にエンジニアなどの専門職の場合、社員が副業によってスキルアップをすることで、本業にも良い影響をもたらすという考えから、積極的に副業を認めようとする傾向が強まりつつあるといえます。

労働力人口の減少が続く中で、企業側の「いかにして業務の効率化と人件費の削減をしつつも、必要な労働力を確保するか。」という試みも働き方の多様化に影響を与えています。IT関係の業務やマーケティング業務、法務や税務などの専門性の高い業務に携わる人材を直接雇用せずにアウトソーシングしたり、フリーランサーを起用する、といった方法が、そのいい例といえるでしょう。この影響により、特定の企業に縛られないフリーランスという働き方にシフトしようと、企業から独立をしようと考える人も増えているようです。

4. 働き方改革とは一体何か

昨今、多様な働き方が生まれてきているという現状を踏まえ、政府が推進しているのが「働き方改革」です。

現在政府では、働き方改革実現推進室を設置して働き方改革実現会議を定期的に実施し、議論を重ねることにより、多様な働き方を実現するためにはどうすれば良いのか検討が進められています。この結果、平成30年6月29日には「働き方改革を推進するための関係法律の整備に関する法律」が参議院本会議で可決成立しました。この法律の制定により、少子高齢化に伴う生産年齢人口の減少や働き方のニーズの多様化に対応できることを目的として、以下の方針が掲げられました。

  • 柔軟な働き方を選択しやすい制度の導入
  • 非正規雇用の待遇改善
  • 賃金引き上げや労働生産性向上に向けた取り組みを行う

また、実行計画には、パワーハラスメント対策やメンタルヘルス対策といったような、誰もが働きやすい環境を手に入れられるようにするための内容も盛り込まれているといった点が特徴です。

働き方改革は、個々の企業において速やかな実行を求められています。政府が働き方改革実現推進室を設置しているのも、早急に対処しなければならない課題だという位置付けがなされているからに他なりません。

5. 現状の働き方を見直してみよう

働き方改革では、現状の問題点を把握して徹底した見直しをすることが大切です。では、個々の企業が働き方を改善するためには、何から手をつければよいのでしょうか?

まずは、雇用条件と労働時間に本当に問題がないのかという点に着目し、次の点について確認してみましょう。

  • 残業時間や休日出勤が多くプライベートに影響が出ていないか
  • 労働量に見合った対価が支払われているか
  • 雇用条件に記載された通りに働くことができる環境となっているか
    (休憩時間など、ひとつひとつの細かい項目について確認をするのが理想的)

上記の点を確認したら、次は、雇用条件の通りで労働者が満足できているか、さらに改善の必要があるのかという点について見ていきましょう。

たとえば、「パートで働いているのに勤務時間等は正規社員並み」という不満が労働者側にあるのなら、正社員への登用制度を検討してもよいでしょう。家庭の事情で思うように会社に貢献できないという労働者がいるなら、テレワークやリモートワークの導入を視野に入れるという手もあります。

また、働き方改革を政府や企業が進めた結果として制度が整ったとしても活用されなければ意味がありません。どのような制度があるかのかを労働者側に周知徹底し、使えるものは使ってもらうという姿勢で改革に臨むことをおすすめします。

6. 働き方改革の事例を知ろう

では、企業の具体的な取り組みについてみてみましょう。

短時間勤務制度の導入

育児休暇を取得した後も主婦として育児をしなければならない女性にとって、フルタイムで勤務するのは困難な場合が多いというのが現実です。その改善策として、多くの企業が取り入れているのが「短時間勤務制度」です。「3歳の誕生日の前日までの子供を養育している場合」に認められる、という規定になっている企業が多いようです。

この制度には、保育園のお迎えに間に合う時間に仕事を切り上げて帰宅することができるなど、育児をしている人ができるだけ仕事と両立できるようにすることで、正規社員をできるだけ確保しようというねらいがあります。

ITの活用による働き方改革

ITの利活用によって業務の効率化を実現し、過重労働を減らすという試みはよく行われていますが、それに加えてオフィスに出社せず自宅などからリモートで仕事をするテレワークなどの在宅ワークを認めることで、柔軟な働き方を実現できるようにしている事例もあります。

さらに、外勤専門の人材を確保して情報システムで勤怠管理をしながら働いてもらうという仕組みを取り入れている企業も見られるようになってきています。

7. 働き方改革で女性が働きやすくなるのか

働き方改革の目標は、すべての人が自分らしい働き方を実現できることです。具体的には「就業を希望しているにもかかわらず求職活動を行っていないために非労働力人口とされている人々」「子育てを抱えてフルタイムで働くことが難しい女性」といった人たちにも無理のないペースで働いてもらえるようにすること、が挙げられるでしょう。

こうした目的のために、政府では「女性が輝く社会」という仕事と育児や介護などを両立出来るような社会の実現を目指す方針を定めています。このため、企業で行う働き方改革においても、女性が社会で活躍できるようにする仕組みを整えていくことが大きなポイントのひとつといえます。

たとえば、改善が必要なものには育児休暇があります。

育児休暇は原則一年間ですが、実際には一年間という期間は育児休暇としては短すぎるものであり、このことが女性の退職を促してしまう原因になっています。そこで男性社員の育児休暇の取得を促進したり、女性の育児休暇の延長を認めたりする制度を独自に設ける企業も増えてきました。社内に託児所を用意して育児休暇が終わって復帰しても子どもを預けながら仕事をすることができる体制作りもその一環といえます。

また、育児期間中はリモートワークを使って在宅で働くことができるという方法もあるでしょう。完全なリモートワークではなくとも、1日の勤務時間の一部を自宅勤務に割り当てることができるだけでも、より育児がしやすくなります。

各企業が、こうしたさまざまな働き方を取り入れていくことで、女性にとって働きやすい環境を実現することが期待できるのではないでしょうか。

おわりに

働き方の多様化や長時間労働の問題が出てくる中で、政府も働き方改革を迅速に行うべき課題として掲げるようになってきました。これにより、さまざまな働き方や、リモートワークやITの活用、短時間勤務制度の導入などによって、働きやすい環境が、徐々にですが整えられてきているといえます。こうした政府や企業の動きをみつつ、そして将来的な方向性を見定めながら、自分にとって理想的な働き方とはどういったものかを考えてみるのもよいのではないでしょうか。

LIMO編集部

参考記事

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LIMO編集部

LIMO編集部は、個人投資家向け金融経済メディアであるLongine(ロンジン)の執筆者である国内外大手証券会社で証券アナリストや運用会社のファンドマネージャーとして長年の調査や運用経験を持つメンバーやビジネス系インターネットメディアでの運営経験者等を中心に構成されています。国内のみならずグローバルの視点から、金融・経済ニュースや投資に関する知識・アイデア、ビジネスパーソンの役に立つ情報をわかりやすくお届けします。