2025年度の年金額は、6月に支給される4月分から、前年より1.9%の引き上げとなります。ただし、マクロ経済スライドの発動により、実質的には目減りとなりました。

物価高騰が続くいま、老後の年金生活に不安を感じる方もいるでしょう。

そこで今回は、いまのシニア世代の「夫婦世帯」の家計収支や貯蓄事情を深掘りしていきます。現役世代のみなさんが、将来に向けたマネープランを考える上でのヒントにしていただければと思います。

1. 《ふたりの老後》65歳以上リタイア夫婦「ひと月の生活費はいくら?」

まずは、総務省統計局「家計調査報告 家計収支編 2024年(令和6年)平均結果の概要」から、「65歳以上の夫婦のみの無職世帯」の家計収支を確認していきます。

1.1 【老齢年金世帯】65歳以上無職夫婦:毎月の収入

  • 収入合計:25万2818円
  • うち社会保障給付(主に年金):22万5182円

1.2 【老齢年金世帯】65歳以上無職夫婦:毎月の支出

  • 消費支出:25万6521円
  • 非消費支出:3万356円

支出合計28万6877円

この世帯の場合ひと月の収入は25万2818円、その約9割22万5182円を公的年金などの社会保障給付が占めます。

一方で支出の合計は28万6877円。そのうち社会保険料や税などの「非消費支出」が3万356円、いわゆる「生活費」にあたる消費支出が25万6521円でした。

この夫婦世帯の場合、毎月約3万円の赤字となり、貯蓄の取り崩しなどで補填する必要があります。

そこで気になるが「老齢年金世代」の貯蓄事情です。次では65歳以上世帯の貯蓄額データを見ていきましょう。