2. 単独で年金を月額23万円受給できる人の割合は10%未満

夫婦ではなく、「単独」で年金を月額23万円受給できる人の割合はどの程度いるのでしょうか。

厚生労働省年金局「令和5年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」によると、厚生年金の平均受給月額は以下のとおりでした(国民年金を含んだ金額)。

  • 全体:平均年金月額:14万6429円
  • 男性:平均年金月額:16万6606円
  • 女性:平均年金月額:10万7200円

令和5年度末現在における、厚生年金保険(第1号)の老齢年金受給権者数は1605万4729人でした。

【男性の場合】

  • 23万円以上24万円未満:27万9564人
  • 24万円以上25万円未満:18万4971人
  • 25万円以上26万円未満:11万7592人
  • 26万円以上27万円未満:7万451人
  • 27万円以上28万円未満:3万9677人
  • 28万円以上29万円未満:2万723人
  • 29万円以上30万円未満:9494人
  • 30万円以上:1万3923人

【女性の場合】

  • 23万円以上24万円未満:7008人
  •  
  • 24万円以上25万円未満:4161人
  • 25万円以上26万円未満:2350人
  • 26万円以上27万円未満:1197人
  • 27万円以上28万円未満:591人
  • 28万円以上29万円未満:289人
  • 29万円以上30万円未満:158人
  • 30万円以上:369人

男女合わせた月額23万円以上の年金受給権者数の合計は、148万8713人です。「148万8713人÷1605万4729人×100%=約9.27%」となります。

厚生年金保険年金額階層別老齢年金受給権者数

厚生年金保険年金額階層別老齢年金受給権者数

出所:厚生労働省年金局「令和5年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」をもとにLIMO編集部作成

厚生年金は、加入期間が長く、加入期間中の報酬が多いほど受給額が増えます。老後生活における経済的な安心を得るためには、少しでも長く厚生年金に加入し、報酬を高める努力が求められるでしょう。

3. 現役世代の方が意識したい「人的資本」

お金を得る方法は、自身の人的資本を活かすことと、金融資本を活かす方法の2つです。人的資本を活かすとは、自身の知識やスキルを労働市場に投入し、給与や報酬を得ることです。

金融資本を活かすとは、保有している資産から利息や配当、値上がり益などを得ることを指します。銀行預金や債券から得られる利息や、株式から得られる配当金は、金融資産から得られる収入です。

現役世代の方は、人的資本を活かすことに注力することをおすすめします。具体的には、リスキリングを通じてキャリアアップを目指したり、副業を始めて新たな知識・人脈を得たりすることが挙げられるでしょう。

特に、若い方ほど今後働ける期間が長いため、豊富な人的資本を有しています。積極的に知識やスキルを習得し、キャリアアップを図ることで収入が増えます。その結果、将来受け取れる年金額が増え、さらに余剰資金を投資に回すことで金融資本から得られる収入を増やせるでしょう。

若い方の場合、投資を行うよりも自分の人的資本を伸ばすことに注力したほうが、将来的なリターンが大きくなる可能性があります。もちろんNISAを活用した資産運用も重要ですが、「今後の社会で求められている知識やスキルは何か」「よりよい待遇で働ける転職先はないか」「自分のスキルを活かして副業を始められないか」など、自分自身への投資も考えてみてください。