8. 【豆知識】ねんきんネット&ねんきん定期便「年金記録に違和感を覚えたら」

公的年金は生涯にわたって受け取れるライフラインとなります。年金加入状況や受給見込額は「ねんきん定期便」や「ねんきんネット」で把握しておきましょう。

ねんきん定期便やねんきんネットで年金記録を確認したときに、「未加入」の期間があった場合は、注意が必要です。

8.1 年金記録に「もれ」や「誤り」があるかもしれないケース

「未加入」期間に「働いていなかったケース」

  • 学生であったが、国民年金に加入していた。
  • 夫(妻)の扶養家族であったが国民年金に加入していた(昭和61年3月以前に限る)

「未加入」期間に「働いてたケース」

  • 退職後、結婚し姓が変わった
  • いろいろな名前の読み方ができる
  • 事情により本名とは異なる名前で勤めた
  • 事情により本来とは異なる生年月日で勤めた
  • 転職のたびに年金手帳が新たに発行されたが、年金手帳を一つにまとめる手続きをしていない
  • 同じ会社(グループ)内で転勤や出向を繰り返していた
  • 勤務先の会社が、合併・社名変更・倒産した
  • 試用期間中に退職した
  • 保険の外交員、期間工などとして勤めていた

その他のケース

  • 保険料を納付したにもかかわらず、「未納」となっている
  • 標準報酬額(※)が実際と異なっている、または大きく変動している

※給与などの平均を区切りのよい一定の幅で区分し、納付する保険料額の計算のもととなるもの

上記のいずれかの項目に当てはまる場合、年金記録に「もれ」や「誤り」があることが考えられます。気になる場合は、最寄りの年金事務所などに問い合わせすることをお勧めします。

9. まとめにかえて

公的年金は私たちの老後の暮らしと切り離せない存在ですが、そのしくみが複雑で分かりにくいと感じることがあるかもしれません。

将来の年金見込み額は、「ねんきんネット」や「ねんきん定期便」で確認ができます。

つい「いくら受給できるか」に注目しがちですが、年金から天引きされる税や社会保険料などの存在も意識しながら、老後の生活設計を進めていけると良いですね。

一般的な年金受給開始年齢は65歳ですが、60歳~64歳の間で前倒しで受け取る「繰上げ受給」や、国民年金保険料に上乗せすることで将来の年金額が増える「付加保険料」など、現役時代から知っておかないと活用しにくい制度もいくつかあります。

ていねいな家計管理と着実な資産づくりをおこなうとともに、公的年金のしくみへの関心も持っていきましょう。

参考資料

吉沢 良子