3. 厚生年金受給額を増やす方法

公的年金は老後の生活費の柱となるものであるため、受給額は少しでも多くしたいものです。そこで、厚生年金の受給額を増やす方法を3つご紹介します。

3.1 定年後も厚生年金保険に加入して働く

厚生年金は原則として70歳まで加入可能なため、定年退職した後も厚生年金保険に加入して働き続けると、受給額を増やすことが可能です。

ただし、厚生年金を受給しながら働く場合、年金の基本月額と総報酬月額相当額※が51万円(令和7年度)を超えると、「在職老齢年金」により年金の一部または全額が支給停止になることに注意が必要です。

※月収(標準報酬月額)に、直近1年間に受け取った賞与を12で割った金額を足したもの

3.2 国民年金の未納分を追納する

厚生年金受給額には国民年金の分も含まれています。国民年金を満額受給するには保険料を40年間(480ヵ月)払い込む必要があり、未納がある場合はその分が減額されます。

国民年金保険料に未納分がある場合は、免除や猶予の手続きを取ってあれば10年以内に追納することが可能です。手続きを取っていない場合は、2年以内であれば追納できます。

ねんきんネットや毎年誕生月に送付されるねんきん定期便などで、納付状況を確認してみましょう。

3.3 繰下げ受給をする

厚生年金は原則として65歳から支給開始となりますが、繰下げ受給の手続きをすることで66歳から75歳までの間に繰下げることが可能です。

1ヵ月繰下げるごとに0.7%が増額されるため、たとえば70歳まで繰下げた場合、42%増額した額を受給できます。なお、増額率は一生涯変わりません。

65歳以降も働く場合で、給与で生活費をカバーできる状態であれば、繰下げ受給を選択するのもひとつの方法です。

4. まとめにかえて

厚生年金を月額20万円以上受給している方の割合は、全体で16.3%です。男性は24.0%とされており、意外と多いと感じる方もいるかもしれませんが、女性はわずか1.3%とごく少数に限られています。

厚生年金を増やすには、70歳まで厚生年金に加入しながら働いたり、繰下げ受給をしたりするなどの方法があります。健康状態や経済的な事情などを考慮し、無理のない範囲で増額することを検討すると良いでしょう。

参考資料

木内 菜穂子