老後に受け取る「年金」の受給開始年齢は原則65歳であるため、「65歳になれば年金でゆとりある生活ができる」と考えている方も多いかもしれません。
しかし、厚生労働省の「2023(令和5)年 国民生活基礎調査の概況」によると、年金のみで生活費をまかなえている世帯は全体の41.7%にとどまり、半数以上の年金世帯が年金収入だけでは生活費をカバーできていないのが実情です。
では、65歳以上の年金世帯が必要としている「生活費」はどの程度なのでしょうか。
本記事では、65歳以上無職夫婦世帯の1ヶ月の平均的な家計収支について紹介していきます。
2025年4月から改定となった「年金額」についても紹介しているので、あわせて参考にしてください。
1. 【65歳以上・無職夫婦世帯】年金世帯の1ヶ月の生活費平均はいくら?
まずは、年金で生活している「65歳以上・無職夫婦世帯」の1ヶ月の生活費について確認してみましょう。
総務省が公表した「家計調査報告 家計収支編 2024年(令和6年)平均結果の概要」によると、65歳以上の無職夫婦世帯が1ヶ月に必要とする生活費は「25万2818円」となっています。
- 実収入:25万2818円
- 可処分所得(手取り収入):22万2462円
- 消費支出:25万6521円
- 毎月の赤字額:3万4058円
1.1 【65歳以上・無職夫婦世帯】生活費の内訳をチェック
【消費支出:25万6521円】
- 食料:7万6352円
- 住居:1万6432円
- 光熱・水道:2万1919円
- 家具・家事用品:1万2265円
- 被服及び履物:5590円
- 保健医療:1万8383円
- 交通・通信:2万7768円
- 教育:0円
- 教養娯楽:2万5377円
- その他の消費支出:5万2433円
- 諸雑費:2万2125円
- 交際費:2万3888円
- 仕送り金:1040円
【非消費支出:3万356円】
- 直接税:1万1162円
- 社会保険料:1万9171円
額面の金額(実収入)は25万2818円ですが、ここから税金や社会保険料が差し引かれた後の手取り額(可処分所得)は22万2462円となります。
一方で、食費や住居費を含む毎月の生活費(消費支出)は25万6521円に上り、毎月約3万円の不足が生じている状況です。
この不足分は貯蓄の取り崩しや就労などで補う必要がありますが、今後の物価上昇や年金の減額の可能性を考慮すると、将来に備えて十分な資産を確保しておくことが重要となるでしょう。
次章では、65歳以上の無職二人以上世帯における平均的な貯蓄額について詳しく見ていきます。