5. 「高額療養費制度」の自己負担引き上げの行方にも注視
本記事でご紹介したように、後期高齢者医療制度の保険料は上昇傾向にあります。加えて、2026年4月からは「子ども・子育て支援金」が保険料に上乗せする形で徴収がスタート。
高齢者世帯に限ったことではありませんが、国民の負担は増える一方です。
また、高齢者を取り巻く医療事情で、話題となっているのが「高額療養費制度の自己負担引き上げ」です。
高額療養費制度とは、高額な治療を受けた場合に、患者の負担が重くならないよう年齢や年収に応じて、ひと月あたりの医療費の自己負担に上限を設けている制度です。
日本の医療構造の柱となる高額療養費制度ですが、2024年12月に自己負担部分の見直しが政府から発表されました。当初は2025年8月から自己負担の引き上げを予定していましたが、自己負担の上がる患者の家計や受診への影響を丁寧に分析する必要があることから、3月7日、石破首相は本件について全面凍結を表明。
今年の秋までに再検討して結論が出る予定です。
高額療養費制度の自己負担が引き上げられると医療費の負担は増加します。
老齢年金や貯蓄で生活する高齢者世帯にとっては、生活が圧迫されるリスクが生じるでしょう。
こうした制度の改正にも注視し、家計の見直しも検討していく必要があります。
参考資料
和田 直子
執筆者
株式会社モニクルリサーチ メディア編集本部
元銀行員/一種外務員資格(証券外務員一種)/LIMOマネー編集部金融ライター
一種外務員資格(証券外務員一種)。大学卒業後、株式会社三菱UFJ銀行に入社。三井住友信託銀行に転職後、資産運用アドバイザー業務に約10年間従事。
現役世代からシニア富裕層までの幅広い個人顧客に対し、資産運用コンサルティングを行う。
<主な専門領域>
投資信託、ファンドラップ、外貨預金、生命保険、医療保険、住宅ローン、事業性ローン、贈与、相続、遺言信託、不動産など、多岐にわたる金融サービスと承継対策をワンストップで提案。特に、長期的な資産形成や富裕層向けのウェルスマネジメント、シニア世代への承継・相続の分野で豊富な知識と実績を持ち、表彰歴多数。
現在は、株式会社モニクルリサーチが運営する「くらしとお金の経済メディア「LIMO(リーモ)」のマネー編集部にて企画・執筆・編集・監修を担当。
厚生年金保険と国民年金保険(老齢年金・障害年金・遺族年金)、年金制度の仕組み、社会保障、貯蓄、資産運用を専門とする。
NISA、iDeCo、住宅ローン、カードローンなどの国民生活に直結する金融情報を始め、FX、株式投資、金(ゴールド)などの投資経験をいかし仕組みやリスクなどを分かりやすく解説。Yahoo!ニュース経済カテゴリでアクセスランキング1位を多数達成【2025年10月7日更新】