4. ねんきん定期便の見方をチェック
ねんきん定期便は、ハガキで送られる場合と封書で送られる場合があります。
- ハガキ:35歳、45歳、59歳以外の年齢の誕生月
- 封書:35歳、45歳、59歳の誕生月
ねんきん定期便には、「表面」と「裏面」の両方に年金に関する情報が記載されています。
ねんきん定期便の「表面」で必ず確認しておきたい項目は「これまでの加入実績に応じた年金額」です。昨年分と今年分が記載されているので、変化があったか確認してください。
これまでの加入実績に応じた年金額は、「ねんきん定期便」を作成したタイミングの加入実績に応じて計算した将来の年金額です。
一方で、ねんきん定期便の裏面で確認しておきたい項目は「これまでの保険料納付額」と「これまでの年金加入期間」です。
記載内容に漏れや誤りがないかチェックしておきましょう。年金加入記録に記載に誤りがあった場合は、年金加入記録回答票を記入して、返信用封筒で返送、または近くの年金事務所に提出してください。
5. 【意外と見落としがち!】厚生年金と国民年金から「引かれるお金」
ここまで年金の「額面金額」について確認しましたが、実際に手にする金額は額面からいくつかの引き落としがあるため、注意が必要です。
本章では、年金から差し引かれる4つの主な費用について、詳しく見ていきましょう。
5.1 年金から引かれるお金1:介護保険料
40歳から64歳までは介護保険料が健康保険に含まれており、65歳を迎えると独立して納めることになります。
年金受給額が年間18万円以上の場合、介護保険料は年金から自動的に差し引かれます。
この保険料の支払いは生涯続き、たとえ介護を必要とする状態になったとしても支払いが免除されることはありません。
5.2 年金から引かれるお金2:国民健康保険料や後期高齢者医療制度の保険料
国民健康保険や後期高齢者医療制度(75歳以上が加入)の保険料も、年金から自動的に天引きされます。
ただし、介護保険料がすでに特別徴収(年金から差し引き)されている場合など、特定の条件を満たす場合には、普通徴収(納付書や口座振替)に切り替わることがあります。
5.3 年金から引かれるお金3:個人住民税
前年の所得に基づいて課税される「住民税」も、年金所得が一定額を超えると年金から天引きされることになります。
ただし、「所得が一定以下の場合」や「障害年金や遺族年金を受け取っている場合」には、住民税が非課税となることがあります。
5.4 年金から引かれるお金4:所得税および復興特別所得税
年金受給額が一定額を超えると、「所得税」も課税されることになります。
65歳未満の場合は年金受給額が108万円を超えると課税対象となり、65歳以上の場合は、158万円を超えると課税されるため留意しておきましょう。
さらに現在は、東日本大震災の復興財源確保のために施行された「復興特別所得税」も課せられています。
なお、個人住民税と同様に、障害年金や遺族年金については課税されず非課税となります。
6. まとめにかえて
老後に自分が年金をどのくらい受給できるかをねんきん定期便などで確認したり、シミュレーションしたりしたことがある人もいるでしょう。
しかし、年金から税金や社会保険料が引かれることは意外と見落としがちです。
老後に受給できる年金額は、現役と比べ大きく減るでしょう。一方で生活費はそう大きく変わらないケースが多いと思われます。しっかりと資金計画を立てておかなければ、最低限の生活すら送れない危険も。
老後の年金収入が「手取り」でどのくらいになるかを想定し、老後対策を進めていきましょう。
参考資料
- 厚生労働省年金局「令和5年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」
- 厚生労働省「令和6年度の年金額改定についてお知らせします ~年金額は前年度から2.7%の引上げです~ 」
- 日本年金機構「Q.年金から所得税および復興特別所得税が源泉徴収される対象となる人は、どのような人でしょうか。」
- 日本年金機構「公的年金制度の種類と加入する制度」
- 厚生労働省「日本の公的年金は『2階建て』」
和田 直子