老後、年金収入だけで生活している世帯はどのくらいいるのでしょうか。
厚生労働省「2023(令和5)年 国民生活基礎調査の概況」によると、高齢者世帯の総所得の平均内訳は以下のとおりです。
- 公的年金・恩給:62.9%
- 財産所得:4.6%
- 年金以外の社会保障給付金:0.8%
- 仕送り・企業年金・個人年金などの所得:5.6%
- 稼働所得:26.1%
公的年金・恩給を受給する高齢者世帯の約4割が、公的年金以外に収入を得ていることがわかります。公的年金だけでは生活できないと想定し、現役時代からこれらの収入源を確保していたのかもしれません。あるいは、公的年金以外の収入により、生活にゆとりをもたらしているケースもあるでしょう。
本記事では、現シニア世代の暮らしぶりをお金に関するデータからのぞいていきます。老後対策の参考にみていきましょう。
1. 【70歳代・二人以上世帯】貯蓄額(平均・中央値)はいくら?
では早速、70歳代・二人以上世帯の貯蓄額(金融資産を保有していない世帯を含む)について見てみましょう。
金融広報中央委員会「家計の金融行動に関する世論調査[二人以上世帯調査](令和5年)」によると、70歳代・二人以上世帯の平均貯蓄額は以下の通りです。
※なお、これから確認する金融資産保有額には、預貯金以外に株式や投資信託、生命保険なども含まれます。また、日常的な出し入れ・引落しに備えている普通預金残高は含まれません。
1.1 70歳代・二人以上世帯:平均と中央値
- 平均:1757万円
- 中央値:700万円
※金融資産を保有していない世帯を含む
1.2 70歳代・二人以上世帯:貯蓄額一覧表
- 金融資産非保有:19.2%
- 100万円未満:5.6%
- 100~200万円未満:5.1%
- 200~300万円未満:4.3%
- 300~400万円未満:4.7%
- 400~500万円未満:2.5%
- 500~700万円未満:6.2%
- 700~1000万円未満:5.8%
- 1000~1500万円未満:10.2%
- 1500~2000万円未満:6.6%
- 2000~3000万円未満:7.4%
- 3000万円以上:19.7%
※金融資産を保有していない世帯を含む
70歳代・二人以上世帯の貯蓄状況には、大きなばらつきが見られ、19.7%の世帯が3000万円以上の貯蓄を持っている一方で、19.2%の世帯は貯蓄が全くないと回答しています。
上記から、70歳代・二人以上世帯の貯蓄額の分布には二極化が進んでいることが確認できます。
また、平均貯蓄額は1757万円ですが、中央値は700万円と大きく異なっており、この差は、富裕層の貯蓄が平均値を引き上げているためであり、実態をより正確に反映している中央値にも注目することが重要です。
貯蓄が少ない世帯においては、公的年金に加え、勤労収入や不労所得などの追加的な収入源を確保することで、経済的な安定感が得られるため、その点も考慮することをおすすめします。
次に、厚生労働省の最新データに基づき、公的年金(厚生年金・国民年金)の受給額について確認していきます。