物価上昇が急激に進む昨今。家計のやりくりに悩む中で、「収入が増えてほしい」「宝くじが当たったら…」と考えることもあるでしょう。
公明党の斉藤代表は、2025年4月10日の中央幹事会において「減税を前提とした現金還付が必要である」と述べました。
所得制限を設けない現金給付、あるいは減税に向けて国民の関心が高まりますが、一筋縄ではいきません。
一方で、住民税非課税世帯を中心とした低所得者世帯に向けては、これまでも数回現金給付が行われてきました。
本記事では、「住民税非課税世帯への3万円給付」について振り返ったあと、「東京都23区内で住民税非課税世帯に該当する人」の要件について見ていきます。
1. 【給付金】低所得者世帯向け「3万円給付金」すでに完了した自治体も
「住民税非課税世帯を対象とする3万円の給付金」は、特に物価高の影響を受けやすい低所得者世帯を支援する目的で、2024年度補正予算に盛り込まれました。
自治体により支給が進められており、すでに完了したところもあります。
※対象世帯となる要件や、給付スケジュール、申請方法については、自治体により異なります。ホームページや広報誌などで最新情報を確認してください。
1.1 住民税非課税世帯への「3万円給付」の概要
1世帯あたり3万円が基本ですが、子育て世帯には「子ども加算」として、18歳以下(※)の児童1人につき2万円が「こども加算」として上乗せ支給されます。
では、どのような人が住民税非課税世帯に該当するのでしょうか。
次では「東京都23区」を例として、住民税非課税となるボーダーラインについて確認していきます。
※:2006年4月2日以降生まれ
2. 住民税非課税世帯とは?住民税のしくみ図つき
「住民税非課税世帯」は、所得に関係なく一律で課税される「均等割」と、所得に応じて決まる「所得割」の両方が免除されている世帯のことです(※)。
※なお「住民税の所得割のみ非課税となるケース」もあります。ただし今回の給付金の対象となるかどうかは自治体により異なるため、必ずお住まいの市区町村などの基準をご確認ください。
住民税が非課税となるのは、以下のいずれかに該当する場合です。
- 生活保護を受けている
- 障害者、未成年者、寡婦、ひとり親で、前年の所得が135万円以下
- 前年の所得が各市町村の定める基準を下回る
3つ目の所得基準は自治体ごとに異なるため、東京都23区の例を見ていきましょう。
2.1 住民税非課税世帯に該当する要件(東京都23区内の例)
(1) 生活保護法による生活扶助を受けている方
(2) 障害者・未成年者・寡婦又は寡夫で、前年中の合計所得金額が135万円以下(給与所得者の場合は、年収204万4000円未満)の方
(3) 前年中の合計所得金額が下記の方
- 同一生計配偶者又は扶養親族がいる場合:35万円×(本人・同一生計配偶者・扶養親族の合計人数)+31万円以下
- 同一生計配偶者及び扶養親族がいない場合:45万円以下
東京都23区内の場合、扶養家族がいない場合の所得目安は45万円以下となっています。
ただし所得は、年収から経費や各種控除を差し引いたあとの金額です。次では収入(年収)換算で見てみましょう。
2.2 住民税非課税世帯に該当する年収目安(東京都港区の例)
- アルバイトやパート:給与収入が100万円以下
- 65歳以上で年金受給のみ:年金収入が155万円以下
- 65歳未満で年金受給のみ:年金収入が105万円以下
- 不動産収入等所得:収入から必要経費を引き、合計所得が45万円以下
東京都港区での場合、アルバイトやパートなどの「給与収入」ならば、住民税非課税に該当する収入目安は「100万円以下」です。
一方、年金収入のみであれば住民税非課税世帯となる収入目安の基準は上がります。65歳未満は「105万円以下」ですが、65歳以上になると「155万円以下」にまで引き上がります。
なお、不動産収入などの所得になると、収入から必要経費を差し引いた合計所得が「45万円以下」となり、大幅に下がりますね。
3. 高齢者ほど「住民税非課税世帯」に該当しやすいのか
前述の年収目安から、老齢年金を受け取るシニア世帯は住民税非課税世帯に当てはまりやすいことが推測できます。
実際、住民税が課税される世帯の割合は、60歳代で78.3%、70歳代で64.1%、80歳代では47.5%と低下していきます。
年金生活に入ると収入が減り、住民税非課税となる所得基準を下回る世帯が増えるためと考えられます。遺族年金が非課税であることも、高齢者に住民税非課税世帯が多い要因の一つと言えるでしょう。
ただし、住民税非課税の判定の基準はあくまでも「収入」です。例えば金融資産をたくさん持っている場合などでも、年金収入が基準額以下で住民税非課税となる場合は、今回の給付金の支給対象となります。
4. まとめにかえて
住民税非課税世帯を対象とした現金3万円給付が進行中です。
対象となる人は自治体によって若干異なるケースもありますが、およその目安として所得が45万円以下となります(単身世帯の場合)。
給与収入であれば年収100万円、年金収入であれば65歳未満は「105万円以下」、65歳以上は「155万円以下」が目安になるでしょう。
高齢者ほど、住民税非課税世帯に該当しやすいという実態があります。
給付は生活の支えになるといえますが、一方で「短期的な施策」である点には注意が必要です。
参考までに、2025年3月11日に総務省が公表した「家計調査報告〔家計収支編〕2024年(令和6年)平均結果の概要」から、65歳以上無職夫婦世帯のひと月の家計収支を見てみましょう。
毎月の家計収支を見ると、3万4058円の赤字です。
3万円の給付があったとしても、平均的な家計収支の世帯においては、1ヶ月分の赤字しかカバーできません。
老後に向けては、赤字額をカバーできるほどの備えも必要であるといえそうです。
参考資料
- 内閣府特命担当大臣「国民の安心・安全と持続的な成長に向けた総合経済対策」~全ての世代の現在・将来の賃金・所得を増やす~政策ファイル(2024年11月)
- 総務省「個人住民税」
- 東京都主税局「個人住民税」
- 港区「住民税(特別区民税・都民税)はどういう場合に非課税になりますか。」
- 厚生労働省「令和5年国民生活基礎調査」
- 公明党「2025/4/10 中央幹事会 斉藤代表冒頭挨拶」
- 総務省統計局「家計調査報告 家計収支編 2024年(令和6年)平均結果の概要」
太田 彩子