平均寿命が長くなることで老後資金の準備が心配の方も多いのではないでしょうか。そのような環境の中、金融庁によるNISA(つみたてNISAも含む)や厚生労働省によるiDeCoなど、国は非課税枠を活用できる資産形成制度を整えるなど、家計の安定的な資産形成の方法として「投資」のありかたをサポートしています。しかし、なぜ今、「貯蓄から投資へ」シフトする必要があるのでしょうか。ここでは、金融庁が発表した金融レポートをもとに、現金・預金から有価証券などへの投資へのシフトについて考えてみましょう。

なぜ投資が必要なのかー金融庁のレポートから見える投資に消極的な日本

金融庁が発表した平成28年度の金融レポートによれば、2016年の日本の家計金融資産は1815兆円。また、その伸びについては、1995年末と2016年末の増加率に着目すると、日本は1.54倍、その一方で米国は3.32倍と日本の増加率はアメリカの半分以下となります。

ちなみに、英国は同期間に2.46倍となっています。英国は米国ほどの金融資産の成長を実現していないですが、日本の増加率と比べると、日本の家計金融資産の成長率が小さく見えます。また、日本の家計金融資産の半分は現金や預貯金(現金・預金)という状況です。2016年に現金・預金の比率が51.7%と半分を超ええています。1995年には同資産の比率が55.7%であったことを考えれば、その比率は低下したとはいえ、引き続き多くの日本人が現金を保有しているか、金融機関に預けているだけの状態だということがわかります。

  • 現金・預金:51.7%
  • 年金・保険:28.7%
  • 株式:9.6%
  • 投資信託:5.3%

ちなみに、2016年の米国の家計金融資産は8821兆円(75.5兆円)。日本の約5倍弱という水準です。その内訳をみると、以下のような構成となっています。

  • 年金・保険:31.3%
  • 株式:21.0%
  • 現金・預金:13.7%
  • 投資信託:9.1%

国ごとの比較では、マクロ環境、たとえばインフレ率も異なりますし、人口動態及びそのライフサイクルのステージも異なるので、家計金融資産の構成資産とその比率を一概に比較しても意味はありませんが、相変わらず日本の現金・預金の比率は半分以上と大きく見えます。

投資が進むとどのような変化が起きるのか