いまのシニア世代の暮らしぶりを知ることで、「老後」をイメージしやすくなるでしょう。
近年は、50歳時の未婚割合が増加傾向にあります。
国立社会保障・人口問題研究所「人口統計資料集2024」によると、2000年の50歳時の未婚割合は男性が12.57%、女性が5.82%ですが、2020年には男性が約2倍の24.77%、女性は約3倍の17.81%とそれぞれ大きく上昇しています。
今後、老後をおひとりさまで迎える方が増えると考えて良いでしょう。
本記事では、65歳以上単身世帯のリタイア後の「生活費・年金額・貯蓄額」を確認していきます。老後対策の参考にご覧ください。
1. 【65歳以上・単身世帯】リタイア後の「月の生活費」はいくら?
定年退職後、一人暮らしのシニアは毎月どれくらいの支出と収入があるのでしょうか。ここでは、総務省統計局が発表した「家計調査報告 家計収支編 2024年(令和6年)平均結果の概要」をもとに、65歳以上・無職の単身世帯の家計事情を見ていきます。
月の収入はいくら?
収入:13万4116円(うち社会保障給付:12万1629円)
シニア単身世帯の平均収入は月13万4116円。このうち、年金や医療費補助などの「社会保障給付」が12万1629円を占めています。
また、年金の受給額は約12万円近くとなりました。つまり、収入の大半が公的年金に依存している構図です。なお、年金額は過去の職歴や加入期間によって異なるため、個人差は大きい点に注意が必要です。
しかし、現役時代の働き方や年金の加入状況によって、老後の年金額には大きな個人差が生じます。
将来の年金額を把握したい場合は、厚生労働省が提供する「ねんきんネット」を使えば、自分の見込み受給額をオンラインでいつでもチェックできます。
月の支出はいくら?
消費支出:14万9286円
- 食料:4万2085円
- 住居:1万2693円
- 光熱・水道:1万4490円
- 家具・家具用品:6596円
- 被服及び履物:3385円
- 保健医療:8640円
- 交通・通信:1万4935円
- 教育:15円
- 教養娯楽:1万5492円
- その他の消費支出:3万956円
・諸雑費:1万3409円
・交際費:1万6460円
・仕送り金:1059円
非消費支出:1万2647円
- 直接税:6585円
- 社会保険料:6001円
月の収支:▲2万7817円
税金や健康保険料といった「非消費支出」が月平均1万2647円発生しています。これらは多くの場合、年金から自動的に引き落とされるため、実際に手元に残る額は少なくなります。
物価が高騰している現状で、おひとりさまの食費は約4万円です。さらに、その他、住居費、光熱・水道、交通・通信などの支出も必要です。
こうした収支を合計すると、平均的な単身シニアは月に約2万8000円の赤字。つまり、年金だけでは毎月の生活費をまかなうのが難しいという現実が浮き彫りになります。
仮に老後の生活が25年続くと仮定した場合、赤字額の累積は900万円近くにのぼる計算に。老後資金として、年金以外の貯蓄や収入源の確保がいかに重要かがわかります。
特に、持ち家ではなく賃貸暮らしの場合は家賃分の負担が増えるため、生活費の見積もりはさらに慎重になる必要があるでしょう。