1. 厚生年金受給者はいくら年金をもらっているのか

ではさっそく、厚生年金受給者の年金受給額を確認しましょう。

厚生労働省年金局「令和5年度厚生年金保険・国民年金事業の概況」によると、厚生年金受給者の年金受給額の分布は以下のとおりです。

厚生年金保険:年金月額階級ごとの受給権者数

厚生年金保険:年金月額階級ごとの受給権者数

出所:厚生労働省年金局「令和5年度厚生年金保険・国民年金事業の概況」

1.1 厚生年金受給者の年金受給額(額面)

年金受給額 割合
月額1万円未満 0.28%
月額1万円以上2万円未満 0.09%
月額2万円以上3万円未満 0.31%
月額3万円以上4万円未満 0.58%
月額4万円以上5万円未満 0.61%
月額5万円以上6万円未満 0.85%
月額6万円以上7万円未満 2.34%
月額7万円以上8万円未満 3.97%
月額8万円以上9万円未満 5.44%
月額9万円以上10万円未満 6.73%
月額10万円以上11万円未満 7.01%
月額11万円以上12万円未満 6.57%
月額12万円以上13万円未満 5.97%
月額13万円以上14万円未満 5.75%
月額14万円以上15万円未満 5.89%
月額15万円以上16万円未満 6.14%
月額16万円以上17万円未満 6.39%
月額17万円以上18万円未満 6.56%
月額18万円以上19万円未満 6.37%
月額19万円以上20万円未満 5.84%
月額20万円以上21万円未満 4.99%
月額21万円以上22万円未満 3.90%
月額22万円以上23万円未満 2.72%
月額23万円以上24万円未満 1.78%
月額24万円以上25万円未満 1.18%
月額25万円以上26万円未満 0.75%
月額26万円以上27万円未満 0.45%
月額27万円以上28万円未満 0.25%
月額28万円以上29万円未満 0.13%
月額29万円以上30万円未満 0.06%
月額30万円以上 0.09%
平均年金月額 14万6429円

上記、厚生年金月額には国民年金(老齢基礎年金)が含まれる

*厚生年金保険受給権者には、特別支給の老齢厚生年金の定額部分の支給開始年齢の引上げにより、定額部分のない報酬比例部分のみの 65 歳未満の受給権者が含まれている

会社員や公務員経験のある厚生年金受給者のうち、月額20万円以上の年金を受け取る人の割合はわずか16.3%となっています。一方で、受給額が月額10万円未満の人の割合は、21.20%です。

そのため、厚生年金受給者のうち受給額が「月額20万円以上」の人よりも「月額10万円未満」の人のほうが多いことがわかります。

ただし、上記のデータには、60歳代前半で特別支給の老齢厚生年金(報酬比例部分のみ)を受け取る人の数値も含まれています。

年金は定額部分と報酬比例部分で構成されますが、制度改正で定額部分の支給開始年齢が引き上げられたことにより、60歳代前半で報酬比例部分のみを受け取る受給者がいます。

そのため、原則定額部分の受け取りを開始する65歳以降の受給者に限定した場合は、「月額10万円未満」の受給者の割合は少なくなる点に注意が必要です。