おひとりさまで老後を過ごす場合、できるだけ貯蓄を増やしておきたいと考える方が多いでしょう。老後生活をゆとりをもって楽しむためには、やはりお金のことは早くから考えておきたいものです。
では、貯蓄額はどのくらいあると安心なのでしょうか。例えば、500万円は少ないでしょうか?
本記事では、年金生活が間近になってきた50歳代のおひとりさま世帯の平均貯蓄額や、老後に受け取れる年金額、平均的な生活費について解説します。
1. 50歳代おひとりさまの平均貯蓄額は?
J-FLECが公表した「家計の金融行動に関する世論調査」によると、50歳代おひとりさま世帯の金融資産保有額の平均値は1087万円です。この金額には、預貯金のほか株式や投資信託、生命保険なども含まれます。
貯蓄額が平均1087万円とすると、500万円は少ない方といえますが、実際にはそうではありません。
1.1 平均値と中央値は異なるもの
当調査結果では、平均値と中央値のふたつの値が算出されており、両者の違いを明確に理解することが大切です。平均値とはデータの値の合計をデータの個数で割った値で、中央値とはデータの値を小さい順に並べたときに、ちょうど真ん中になる値のことをいいます。
平均値はデータの中に極端に大きな値や小さな値があると、その影響を受けやすく実際の平均とはかけ離れることがあります。しかし、中央値は影響を受けにくいため、実際の平均に近い数値となります。
つまり、実際の平均を知るには、中央値の方が適しているということです。当調査結果では、中央値は30万円とされており、平均値よりかなり低額になっています。
平均的な貯蓄が30万円とすると、貯蓄500万円の世帯は多い方に該当するといえるでしょう。
1.2 最も多いのは「金融資産なし」世帯
50歳代おひとりさま世帯の、金融資産保有額ごとの世帯割合を見ていきましょう。
50歳代のおひとりさま世帯では、「金融資産なし」の世帯が最も多く40.2%を占めています。「100万円未満」の世帯は13.1%となっており、合わせると半数以上の世帯が金融資産なしか、あっても100万円未満という結果です。
一方、「3000万円以上」の世帯は11.2%となっており、約10世帯に1世帯が高額な金融資産を保有していることがわかります。金融資産のない世帯と高額な資産を保有している世帯の差が大きく出ているといえます。