内閣府が2025年4月8日「3月の景気ウオッチャー調査(街角景気)」を発表しました。

景気ウォッチャー調査とは景気の動向を示す指標のひとつです。

結果は、前月と比較し0.5ポイント低下して45.1となったことがわかりました。物価高騰などの影響で、3か月連続で悪化しました。

物価高騰が続くと、金融資産の目減りすることに不安を感じる人もいるのではないでしょうか。

金融庁が公表したNISA口座の利用状況調査の結果によると、全金融機関のNISA口座数は、 2024年12月末時点において、約2560万口座となったことがわかりました。

10年前と比較すると約1735万口座増加したこととなり、多くの方が資産形成の手段としてNISAを導入していることが明らかとなりました。

このように、多くの人が資産形成を始めている一方で、「周りの知人や同僚が始めているから」「国がすすめているから」という、あいまいな理由でなんとなく始めてしまう人も少なくないようです。

特に新NISAが導入されて2年目となった今、「よくわからないまま始めたけれど、どう運用していいかわからない」と不安を抱えはじめている人が増えている、と知人のファイナンシャルアドバイザーが教えてくれました。

そこで今回は、元銀行員として企業型DCやiDeCoの講師を務めた筆者が、「なんとなく投資」の落とし穴5選をご紹介していきます。

1. 「脱・投資初心者」のルール(その1):新NISAとiDeCoを使い分けできていなかった

新NISAのつみたて投資枠やiDeCoは、いずれも投資信託を活用する仕組みで、毎月一定額を積み立てて資産を育てていく制度です。

共通点が多い一方で、制度ごとに特徴や違いもあります。自分の資産運用の目的やライフプランに合わせて使い分けることで、資産設計をよりスムーズに進めることができます。

ここでは、具体例を2つ挙げて、失敗しがちな例と有効な活用方法をわかりやすくご紹介します。

1.1 非課税枠の違い

【写真全6枚】iDeCoと新NISAの違いを理解しよう、後半では短期投資と長期投資の違いを図解1/6

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非課税枠は、新NISAとiDeCoでは異なります。

新NISAのつみたて投資枠の非課税投資枠は毎年120万円で、すべてつみたて投資枠で行った場合には、合計1800万円まで投資をすることができます。

たとえば、つみたて投資枠で毎年120万円の投資を行った場合に、15年続けると1800万円の枠を使用することができます。

一方、iDeCoは働く会社が企業型確定拠出年金制度に加入している場合など、職場や働き方によって、月々の掛金上限額が異なります。

また、iDeCoの非課税制度は、受給時は対象外となります。その点は失念する方が多いポイントです。詳しくは後ほど解説します。

1.2 手元にお金を戻す条件の違い

途中、手元にお金を戻す条件も異なります。

新NISAはいつでも途中で売却をすることが可能です。

対して、iDeCoは、原則60歳にならなければ受け取れません。年代にもよりますが、60歳まで原則引き出せないことを考えると、無理のない範囲で活用することが重要になるでしょう。

iDeCoは中途解約できないことをついつい忘れてしまう方が多い傾向にあります。リストラや離婚、病気になったり働けなくなったりすることを考えると、お金を引き出す必要に迫られることもあります。

そういった可能性を踏まえ、「新NISAは万が一のときでも売却できる資金・iDeCoは老後資金」と使い分けて、金融商品や積立金額を考えましょう。

2. 「脱・投資初心者」のルール(その2):家計の資産全体からとれるリスクを考えればよかった

資産全体で考える2/6

アロケーションの図

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資産形成を考える際、「なるべくリスクを抑えたい」と、初心者ほど、より安定的な金融商品を選びがちです。

リスクは「値下がりすること」「元本が減ること」「損をすること」と思っていませんか。金融におけるリスクとは「価格の振れ幅がある」ということです。

価格が動くこと自体をリスクと捉えるため、リスクを抑える=大きく値上がりする可能性も低いということになります。

2.1 金融商品でリスクを抑えるのではなく、資産全体

新NISAやiDeCo以外に貯蓄を保有している方も多いでしょう。

ご家庭の貯蓄全体からみると、新NISAやiDeCoをしているものの、場合によってはリスクを抑えすぎた運用になっている場合もあります。その場合は、運用利回りが低くなってしまうことで目標とする金額に到達しないことが考えられます。

個別の金融商品のリスクに目をやるばかりではなく、家庭の資産全体で考えたいところです。

たとえば、全体で見た場合、預貯金が多い世帯は、投資する金融商品のリスクが高くても良いのです。

2.2 リスクを分散するには投資タイミングを分散するという方法も

将来にかけて大きく資産を増やしていきたいのであれば、選ぶ金融商品でリスクを過剰に抑えるのではなく、成長が期待できる資産を毎月買付することでリスクを分散することもできます。

購入するタイミングの分散で、リスクを抑えていくことを意識してみるのも良いでしょう。

運用を考えるときはご家庭の貯蓄全体を見渡して、どれくらいのリスクが取れるかを考えましょう。

3. 「脱・投資初心者」のルール(その3):金融機関をきちんと選べばよかった

金融機関はどこも同じではない3/6

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新NISAやiDeCoは、証券会社や銀行などの金融機関で開設することが可能です。どこでも同じ金融商品を扱うわけではないので、事前に自分が投資したい商品を扱っているかを確認しましょう。

また、新NISAへの投資でポイントが付与されたり、ポイントを利用して投資できるなど、各社さまざまなサービスを行っています。

つみたて投資をするにあたって、証券会社ごとにポイントが利用できたり、利用できなかったりもするので、そのあたりもポイントに興味がある方はチェックしておきたいところです。

例えば、ネット証券でのiDeCo取扱商品を調べてみると、36本や38本と非常に多くの数をそろえるところもありますが、ラインナップを見ると、初心者向けの商品に偏っていたりする場合もあるのです。

一度はじめれば長期間利用することになるので、投資をはじめる金融機関はしっかり比較して選びましょう。

4. 「脱・投資初心者」のルール(その4):iDeCoの受給時に課税されてしまった

受給時に課税されて驚くことがないようにしたい4/6

夫婦が議論している写真

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iDeCoは、非課税制度のある資産形成方法として知られています。

ただし、「受給時も非課税」と誤解してしまう方も少なくありません。実際には、受け取り方や金額によっては課税されることもあり、注意が必要です。

iDeCoで積み立てた資産は、60歳以降に「一時金」「年金」「併用」のいずれかの方法で受け取ります。このとき、一括で受け取れば「退職所得控除」、年金として受け取れば「公的年金等控除」が適用されるため、一定額までは非課税になります。

しかし、控除枠を超えた金額については、たとえ自分で積み立てた資産であっても課税対象になります。

「非課税だと思っていたのに、実は課税されていた」と後悔をしないためには、退職金や公的年金とのバランスを見て、受け取り方と時期を事前に計画しておくことが大切です。

5. 「脱・投資初心者」のルール(その5):投資戦略に自信がなく放置してしまった

「なんとなく投資」のいちばんの落とし穴は、目的を持たずに資産運用を始めてしまうことです。目標や判断軸がないまま投資を続けると、相場の変動に一喜一憂してしまい、振り回されがちではないでしょうか。

実際、毎日の値動きが気になって疲れ果ててしまい、やがてチェックするのも面倒になって放置。気づけば、今いくら残っているのかも分からない、というケースも少なくありません。

とくに投資初心者の方は、「みんな始めているから」と新NISAをきっかけに投資をスタートしても、その後の運用判断ができず、戸惑ってしまうことが多いようです。

そんなときは、そのまま放置せず、一度プロに相談してみるのもひとつの手です。最近では、無料で相談できるサービスや、手頃な価格で利用できるサポートも増えてきました。

もちろん、自分で知識を深めていくことも大切ですが、わからないことはプロに頼ることでスムーズに解決できることも多いのではないでしょうか。

なんとなく投資は卒業しよう5/6

悩む女性

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6. まとめにかえて

時間をかけても自分に合った投資スタイルの確立を6/6

お金を積み上げる写真

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新NISAやiDeCoは話題の資産形成方法であることから、「とりあえず始めてみよう」と目的があやふやなままで始めてしまう人が多いようです。

「国がすすめる資産形成方法だから安心だと勘違いしてしまう人もいる」と知人のファイナンシャルアドバイザーも指摘していました。

投資を始める際には、周りの意見に左右されず、まずは制度を理解することが重要です。そのうえで、自身のリスク許容度を理解し、自分に合った運用スタイルを考えておくことが必要となります。

投資初心者は特に短期間の値動きに振り回されがちですが、長期的な視点で資産を成長させていくことが大切です。特に、急な相場の変動で不安を感じても、冷静に判断し、焦らずに投資を継続していきましょう。

参考資料

三石 由佳