6. 老後に受給する年金からも「税金」や「社会保険料」が引かれる…
本記事では、基礎年金を受給する一定の要件を満たす人が対象となる「年金生活者支援給付金」について解説してきました。
多くの人が受給するであろう老齢年金においては、年金額が現役時代の働き方などにより決定するため、十分な年金を受け取れない人は少なくありません。
現在のシニア世代の年金受給額を確認しましたが、思っていた以上に少ないと感じた人のいるのではないでしょうか。
老後に向けて、相応の資産を蓄えておく必要がありそうですね。
なお、老齢年金には税金がかかることも覚えておきましょう。
年金から引かれる税金や社会保険料は、以下の通りです。
- 所得税及び復興特別所得税
- 住民税
- 介護保険料
- 国民健康保険料
- 後期高齢者医療保険料
それぞれ確認していきましょう。
6.1 所得税及び復興特別所得税
年金は、所得税及び復興特別所得税の課税対象です。対象となる所得税の種類は「雑所得」で、原則、年金として受け取る分から「公的年金等控除額」を差し引いて計算します。公的年金等控除額は、年金以外の所得が「1000万円未満」「1000万円超~2000万円未満」「2000万円超」によって控除額が異なります。
6.2 住民税
住民税も年金から天引きされる項目の1つです。原則、以下の条件をすべて満たす場合に年金から天引きされます。
- 65歳以上で、老齢基礎年金を受給
- 年金等の支給額が年間18万円以上
- 介護保険料を年金から天引き
6.3 介護保険料
介護保険料も天引きの対象です。住民税と同様、年間の年金額が18万円以上であれば天引きされます。一般的に、所得が高い人ほど支払う保険料の総額は高くなり、所得が少ない人は、減免される仕組みです。保険料は自治体によって違うため、詳細はお住まいの自治体から発信される情報を確認してください。
6.4 国民健康保険料
国民健康保険も年金から天引きされる対象です。年間の年金受給額が18万円以上の場合に天引きされます。国民健康保険は、75歳になると後期高齢者医療保険に移行するので、74歳までが天引きの対象です。
6.5 後期高齢者医療保険料
後期高齢者医療保険は、75歳以上、もしくは75歳未満で一定の障害がある年金受給者から天引きします。年金から保険料が天引きされる対象条件は、他の条件と同じく年間の年金受給額が18万円以上ある人です。保険料は、被保険者になる全員が負担する均等割額と、所得に応じて負担する所得割額の合計額です。
日本は国民皆保険制度を導入しており、老後も国民健康保険(75歳以上は後期高齢者医療保険)に加入します。年金生活に突入し収入が大きく減る世帯が多いと思いますが、社会保険料はずっと支払う必要があるのです。
こうした仕組みもあらためて確認し、老後対策を進めていきましょう。
参考資料
- 厚生労働省「年金生活者支援給付金制度について」
- 厚生労働省年金局「令和5年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」
- 日本年金機構「年金生活者支援給付金制度について」
- 日本年金機構「年金生活者支援給付金の概要」
- 日本年金機構「老齢基礎年金を新規に請求される方の請求手続きの流れ」
- 日本年金機構「年金生活者支援給付金のみの源泉徴収票は送付されるのでしょうか。」
和田 直子