老後対策を進めるにあたり、みんなの貯蓄事情が気になる人もいるでしょう。

厚生労働省「2023(令和5)年 国民生活基礎調査の概況」によると、公的年金や恩給のみで生活できている高齢者世帯は41.7%です。公的年金以外の収入や貯蓄の取り崩しが必須であることがわかります。

しかし、十分な貯蓄を準備できないまま老後を迎える人も少なくないようです。

本記事では、シニア世代(60歳代・70歳代)の貯蓄額と、老後が目前に迫っている50歳代の貯蓄額について確認していきます。貯蓄ゼロの世帯は何パーセントくらいいるのでしょうか。

老後の主な収入源の一つとなる公的年金(厚生年金・国民年金)の平均月額もご紹介していきます。

1. 【50歳代・60歳代・70歳代】貯蓄ゼロの世帯は何パーセントくらいいる?

J-FREC 金融経済教育推進機構の「家計の金融行動に関する世論調査 二人以上世帯(2024年)」を基に、50~70歳代で貯蓄ゼロの世帯が占める割合とその平均・中央値について確認してみましょう。

※なお、貯蓄額には日常的な支出や引き落としに備えている普通預金の残高は含まれていません。

  • 50歳代:29.2%
  • 60歳代:20.5%
  • 70歳代:20.8%

50歳代は約3割の世帯が「貯蓄ゼロ」に。60歳代、70歳代では約2割が「貯蓄ゼロ」という状況にあります。

さらに、これらの世帯の平均値と中央値は以下の通りです。

1.1 50歳代・60歳代・70歳代の平均貯蓄額(平均値・中央値)

  • 50歳代    1168万円 ・250万円
  • 60歳代    2033万円  ・650万円
  • 70歳代    1923万円  ・800万円

60~70歳代の世帯の平均貯蓄額は2000万円前後となっていますが、中央値は1000万円以下となっており、両者の差が大きいことがわかります。

各年代ごとに、貯蓄を保有している世帯と保有していない世帯、その差が広がっているといえるでしょう。