老後を考える上で欠かせないのが「公的年金」。どれほど年金を受け取れるかによって、生活費の削減や貯蓄の必要性も変わってきます。
株式会社帝国データバンクの「価格改定動向調査」によると、2025年4月の値上げは4225品目にものぼります。
1年6か月ぶりに4000品目を超えるということで、低年金生活者への影響が懸念されます。
なお、年金収入やその他の所得が少ない人に向けては、「年金生活者支援給付金」が支給される可能性もあります。
こうした公的な制度をしっかり押さえておくことも大切でしょう。
2019年にスタートした「年金生活者支援給付金」とはどのような制度なのでしょうか。金額や対象者・財源を解説します。また、今のシニアが受給する厚生年金と国民年金の平均額も見ていきましょう。
1. 「年金生活者支援給付金」とは?対象なら年に最大約6万円が給付!
年金生活者支援給付金は、年金収入やその他の所得が一定基準を下回る年金生活者に対して、年金に追加して支給される給付金です。
2019年10月1日に導入された比較的新しい制度であり、消費税の増税分が財源として充てられています。
年金生活者支援給付金には、以下の3種類があります。
- 老齢年金生活者支援給付金
- 障害年金生活者支援給付金
- 遺族年金生活者支援給付金
2025年度は増額が予定されており、実際には6月支給分から反映されます。
2. 【6月支給分から増額】年金生活者支援給付金の給付基準額はいくら
年金生活者支援給付金制度の支給金額は毎年改定されており、2025年度の給付基準額は以下の通りとなっています。
2.1 老齢年金生活者支援給付金の給付基準額
- 基準額:月額5450円
老齢年金生活者支援給付金は、上記の基準を元に、保険料納付済期間などに応じて算出されます。
例えば、1956年(昭和31年)4月2日以降に生まれ、保険料納付月数が480カ月で、全額免除月数が0カ月の場合、給付額は5450円となります。
また、国民年金保険料の免除期間がある場合は、基準額から減額される仕組みとなっています。
2.2 障害年金生活者支援給付金の給付基準額
- 障害等級2級:月額5450円
- 障害等級1級:月額6813円
2.3 遺族年金生活者支援給付金の給付基準額
- 月額5450円
年金生活者支援給付金は、基礎年金と同じ支給日に支給されるため、2カ月に1度の支給となります。
ただし、この給付金は自動的に支給されるわけではなく、申請が必要です。
次章では、年金生活者支援給付金の要件について詳しく説明します。
3. 「年金生活者支援給付金」3種類ごとの要件
どんな人が給付金を受け取れるのかについて、まずは「老齢年金生活者支援給付金」の要件から見ていきましょう。
3.1 「老齢年金生活者支援給付金」支給要件
- 「老齢基礎年金」を受給中の65歳以上の方
- 支給対象者の、同一世帯の全ての方が市町村民税非課税
- 前年の公的年金などの収入と、その他の所得の合計額が以下の支給要件に該当する
※支給要件において、前年の公的年金の収入に、障害年金・遺族年金などの非課税収入は含まれません。
1956年4月1日以前生まれの方|「老齢年金生活者支援給付金」支給要件
- 老齢年金生活者支援給付金:78万7700円以下
- 補足的老齢年金生活者支援給付金:78万7700円を超え88万7700円以下
1956年4月2日以後生まれの方|「老齢年金生活者支援給付金」支給要件
- 老齢年金生活者支援給付金:78万9300円以下
- 補足的老齢年金生活者支援給付金:78万9300円を超え88万9300円以下
3.2 「障害年金生活者支援給付金」支給要件
- 障害基礎年金の受給者
- 前年の所得(※1)が472万1000円(※2)以下
※1 障害年金等の非課税収入は、年金生活者支援給付金の判定に用いる所得には含まれません。
※2 扶養親族等の数に応じて増額
3.3 「遺族年金生活者支援給付金」支給要件
- 遺族基礎年金の受給者
- 前年の所得(※1)が472万1000円(※2)以下
※1 遺族年金等の非課税収入は、年金生活者支援給付金の判定に用いる所得には含まれません。
※2 扶養親族等の数に応じて増額
4. 「年金生活者支援給付金」手続き方法
「年金生活者支援給付金」は、たとえ要件を満たしていても申請しない限り受給できません。
案内が送られてくので見逃さないようにしましょう。
申請方法について、「これから年金を新規請求する人」と「すでに年金を受け取っている人」の2つのパターンに分けて解説します。
4.1 これから基礎年金を新規請求する場合の手続き方法
これから年金の受給を新規申請する場合、年金生活者支援給付金の対象者であれば、老齢基礎年金の請求書と一緒に給付金請求書も送付されます。
同封された給付金請求書に必要事項を記入し、老齢基礎年金の請求書と共に提出しましょう。
4.2 すでに基礎年金を受け取っている場合の手続き方法
年金以外の収入減などにより、年金生活者支援給付金の対象となる場合もあります。
その場合、対象者には毎年9月1日以降に順次「年金生活者支援給付金請求書(はがき型)」が送付されるため、受け取ったハガキに必要事項を記入し、申請しましょう。
※繰上げ受給をしている場合、書類の様式が異なりますので注意が必要です。
年金生活者支援給付金の申請は初回のみですが、個別の状況によって異なる場合があるため、不明点がある場合はお近くの年金事務所などに相談することをおすすめします。
5. まとめ:給付金や年金を知ろう
老後に向けた対策を考えると、「貯蓄」を思い浮かべる方が多いです。
しかし、物価高が続く日本においてやみくもに預貯金を増やすのは難しいのではないでしょうか。
今の生活を必要以上に切り詰めてしまうのも避けたいものです。
そこで、今回ご紹介したような給付金の存在もしっかり知った上で、過不足なく準備を進めていくことが大切になります。
年金額も重要なので、参考までに厚生労働省年金局「令和5年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」より、厚生年金と国民年金の平均年金月額を確認していきましょう。
5.1 厚生年金の平均月額
〈全体〉平均年金月額:14万6429円
- 〈男性〉平均年金月額:16万6606円
- 〈女性〉平均年金月額:10万7200円
※国民年金の金額を含む
5.2 国民年金の平均月額
〈全体〉平均年金月額:5万7584円
- 〈男性〉平均年金月額:5万9965円
- 〈女性〉平均年金月額:5万5777
公的年金だけで安心して老後を迎えられる人は少ないでしょう。
安心した老後を迎えるために、早めに老後対策を検討してみてはいかがでしょうか。


