2025年4月から公的年金が前年度比で1.9%引き上げられましたが、物価の上昇ペースには追いつかず、実質的な年金の価値は低下し続けています。
物価高や低年金の影響で、生活の厳しさを感じているシニア層は増えていますが、実は申請することで国や自治体から支援を受けられる制度があることをご存知でしょうか。
本記事では、シニア世代が利用できる「申請すれば受け取れる給付金」について詳しく解説していきます。
1. 「年金」に関する申請をしないともらえないお金
はじめに、「年金に関連する申請が必要な給付金」について見ていきましょう。
1.1 年金生活者支援給付金
年金生活者支援給付金は、公的年金やその他の収入が限られている高齢者世帯を支援し、生活の負担を和らげることを目的とした制度です。
この給付金を受け取るには、「老齢基礎年金(国民年金)」「障害年金」「遺族年金」のいずれかを受給していることに加え、定められた条件を満たしている必要があります。
要件は給付の種類によって異なりますが、例えば老齢基礎年金(国民年金)を受給している方の場合、以下の条件をすべて満たすことで支給対象となります。
- 65歳以上の老齢基礎年金の受給者である
- 同一世帯の全員が市町村民税非課税である
- 前年の公的年金等の収入金額とその他の所得との合計額が昭和31年4月2日以後に生まれの方は88万9300円以下、昭和31年4月1日以前に生まれの方は88万7700円以下である。
※1 障害年金・遺族年金等の非課税収入は含まれません。
※2 昭和31年4月2日以後に生まれた方で78万9300円を超え88万9300円以下である方、昭和31年4月1日以前に生まれた方で78万7700円を超え88万7700円以下である方には、「補足的老齢年金生活者支援給付金」が支給されます。
給付基準額は毎年見直されており、「老齢年金生活者支援給付金」の2025年度の基準額は「5450円」となり、前年度より140円増額されました。
基準額通りに支給された場合、年間で約6万円の給付を受け取ることが可能で、要件を満たしている限り継続的に受給できるため、該当する方は忘れずに申請しましょう。
1.2 加給年金
「加給年金」とは、厚生年金に加入している方が、特定の要件を満たす配偶者や子どもを扶養している場合に支給される年金で、年金の「家族手当」としての役割を果たします。
ただし、加給年金は「厚生年金」に加入している方が対象であり、自営業などで「国民年金のみ加入している方」は支給の対象外となります。
加給年金を受け取るためには、以下の2つの条件を満たす必要があります。
- 厚生年金保険の被保険者期間が20年※以上であること
- 65歳到達時点(または定額部分支給開始年齢に到達した時点)で、その方に生計を維持されている配偶者または子どもがいること
※または、共済組合等の加入期間を除いた厚生年金の被保険者期間が40歳(女性と坑内員・船員は35歳)以降15年から19年
加給年金は、最大で年に約40万円の支給があるため、老後の世帯主が安定した収入を維持するための重要な支援となるでしょう。