4. 日本に「富裕層が増加している」理由
近年、日本で富裕層が増え続けている背景には、いくつかの要因が考えられます。
4.1 【背景1】国内外の株価上昇
1つ目に挙げられるのが「国内外の株価上昇」です。
米国の株式市場は「ダウ工業株30種平均」や「S&P500」といった主要指数が示すように、短期的な変動はありながらも長期的な上昇トレンドを維持してきました。
この株高は米国に限らず世界的な傾向です。富裕層は一般世帯に比べ、株式の保有額や、株式が総資産に占める割合が高い傾向があります。
こうした世界的な株高が、「持てる世帯」の資産を大きく押し上げる主な要因となってきたと考えられるでしょう。
4.2 【背景2】非課税投資制度の拡充による資産形成機会の拡大
2つ目に挙げられるのが「非課税投資制度が拡充され、資産形成の機会が拡大したこと」です。
具体的には「NISA(ニーサ:少額投資非課税制度)」「iDeCo(イデコ:個人型確定拠出年金)」といった非課税枠のある税制優遇制度によるものです。
NISA制度は2014年に創設されたのち、2024年より「新しいNISA(新NISA)」として拡充・展開されています。
こうした背景により、個人が資産形成にトライする機会が増えてきました。
かつては投資に無関心だった人でも、NISAのスタートをきっかけに運用を始めたという人もいるでしょう。初期段階から運用を開始した人であれば、相応の利益が出ていることが推測できます。
4.3 【背景3】相続や贈与によるもの
富裕層が増加している3つ目の要因は、相続や贈与による資産の承継です。
日本では少子高齢化が進んでいるため、一人あたりの相続額が増加傾向にあります。
これにより、これまで富裕層ではなかったごく標準的な家庭の人々が、親や祖父母からの遺産を相続したことで富裕層になるケースも増えています。
このように、株価の上昇、資産形成の機会拡大、そして資産の承継といった複数の要因が重なり、富裕層が増えていると考えられます。
本人の意図とは関係なく、こうした環境の変化によって富裕層になった人も少なくないでしょう。
5. 資産形成の第一歩は情報収集から
ここまで、国内の富裕層の割合や、増加の背景について見てきました。
近年、日本では物価の上昇によって、預貯金だけでは資産価値が目減りするリスクが高まっていると指摘されています。そのため、多くの富裕層はインフレリスクに備え、資産運用を積極的に取り入れています。
ただし、資産運用と言っても、投資対象や手法によってリスクやリターンは大きく異なります。まずは、自分に合った方法を見極めるために、資産運用の仕組みや特徴をしっかり理解することが重要です。
情報を集めながら、自分の将来の資産形成に向けた第一歩を踏み出してみましょう。
参考資料
- 株式会社野村総合研究所「野村総合研究所、日本の富裕層・超富裕層は合計約165万世帯、その純金融資産の総額は約469兆円と推計」
- 帝国データバンク「食品主要195社」価格改定動向調査 ― 2025年9月
筒井 亮鳳