4.4 保険医療費
老後の経済的な不安の要因として約30%もの人が挙げていたのが「保険医療費が掛かりすぎる」ことです。
しかし、実際の支出内訳を見ると、割合としては全体の7.2%で、10%にも届きません。確かに高齢になると医療や介護を受ける機会も増える傾向があります。しかし、日本の制度では介護費や医療費の自己負担額が大きくなりすぎないような仕組みが用意されているため、統計結果からもわかる通り、他の費用と比較して特別に介護医療費が大きくなるようなことはありません。
ただし、長期入院や高度な治療、特定の介護サービスなどで想定外の費用が発生する可能性もあるため、貯蓄や民間保険などにより一定の備えを検討することも大切です。
5. まとめにかえて
65歳以上の無職夫婦の平均的な家計収支はやや赤字が多くなっています。物価上昇や予期せぬ支出を考えると、ある程度の貯蓄は必要といえるでしょう。
老後の生活を安心して送るためには、収入と支出のバランスを見極め、無理のない範囲で支出を見直すことが重要です。特に、食費や光熱費といった生活必需品の支出は、工夫次第で大きく節約できる可能性があります。
また、年金だけでは不安がある場合は、健康状態や希望に応じて、パートタイムの仕事を探したり、副収入を得る方法を検討することも一つの選択肢です。
老後の生活は長期にわたるため、短期的な節約だけでなく、長期的な視点で家計管理を行うことが大切です。無理な節約はストレスにつながるため、自分たちのライフスタイルに合った支出のバランスを見つけることが、豊かな老後生活への鍵となるでしょう。
参考資料
- 総務省統計局「家計調査報告(家計収支編」2024年(令和6年)平均結果の概要」
- 厚生労働省「令和5年度厚生年金保険・国民年金事業の概況」
- 経済産業省 省エネルギー庁「省エネポータルサイト」
- 厚生労働省「令和7年度の年金額改定についてお知らせします ~年金額は前年度から 1.9%の引上げです~」
斎藤 彩菜