3. 企業年金の有無を確認しよう
会社員として働いている方の場合、勤務先が福利厚生の一環で企業年金制度を用意している可能性があります。企業年金は「確定給付企業年金(DB)」と「確定拠出年金(DC)」に大別され、それぞれ特徴は異なります。
確定給付企業年金は、その名のとおり、あらかじめ給付額が確定しています。給付額の計算ルールは企業ごとに異なり、就業規則や退職金規程で確認できるはずです。
確定拠出年金は、掛金を拠出するのは企業ですが、加入者である従業員が運用を行います。受給できる額は運用成績に基づいて決定し、いくら受給できるかは加入時にはわかりません。
ただし、iDeCoのように運用益が非課税になる税制優遇があります。効率よく資産形成ができるため、運用成績次第では、確定給付年金よりも多くの私的年金を用意できる可能性も十分にあり得るでしょう。
なお、確定拠出年金の運用状況は、インターネット上のマイページで確認できます。将来受け取れる金額は自分の運用判断にかかっている以上、最低でも年に1回程度は確認するとよいでしょう。
運用中の企業年金は、転職時に他の年金資産へ持ち運べます。例えば、確定拠出年金制度がある企業から確定拠出年金制度がない企業へ転職した場合でも、iDeCoへ移して運用を継続できます。
退職金や企業年金は、公的年金と並んで老後生活を支える大きな柱です。「自分はいくらの公的年金を受け取れるか」「いくらの退職金(企業年金)を受け取れるか」の確認は、老後生活を考えるうえで欠かせません。
4. まとめにかえて
老後生活を支える主な収入となるのは公的年金ですが、退職金や企業年金も重要な役割を果たします。勤務先の退職金制度がどうなっているのか、ぜひ調べてみてください。
もし退職金制度がない場合は、自助努力を行う必要性が高いでしょう。NISAやiDeCoを活用し、資産形成を進めることが大切です。
参考資料
- 厚生労働省「令和7年度の年金額改定についてお知らせします~年金額は前年度から 1.9%の引上げです~」
- 日本年金機構「年金額はどのようなルールで改定されるのですか。」
- 厚生労働省「私的年金制度の概要(企業年金、個人年金)」
- 企業年金連合会「企業年金制度」
- 厚生労働省「離職・転職時等の年金資産の持ち運び(ポータビリティ)」
柴田 充輝