3. 老後生活を安定させる鍵は厚生年金への加入

現行制度において、厚生年金保険料率は18.3%です。労使折半であるため、従業員の個人負担は9.15%となっています。

厚生年金保険料だけで、収入の約1割が差し引かれていることを考えると、かなり重い負担となっているのは否めません。

また、国民年金の給付水準を底上げするために、厚生年金の一部が国民年金の給付に充てられます。年金制度を維持するために厚生年金が割を食っている形となっており、制度そのものに不満があるのは確かです。

しかし、厚生年金保険は報酬比例の仕組みとなっているため、「負担増」が「給付増」につながります。負担が重く、制度に不公平感があるのは否めないものの、安心して老後生活を送るために厚生年金保険に加入することは有意義です。

国民年金と厚生年金の平均受給額を見るとわかるように、国民年金だけで老後生活をカバーするのは無理があります。公的年金の強みは「終身に渡って安定した収入を得られる」という点にあるため、ある程度の負担を受容して将来のために備えることは大切です。

現役時代は「保険料が高すぎてテンションが下がる」と感じるかもしれません。しかし、将来受け取れる年金額を増やすことは、生涯に渡る安心につながる、という点を意識してみてください。

4. まとめにかえて

社会保険に加入する働き方をしていれば、将来厚生年金を受給できます。できるだけ長く厚生年金に加入すること、できるだけ加入期間中の収入を増やすことが、将来の年金増につながります。

年金の本質は働けなくなったときに備える「保険」です。現役のころは負担に感じても、将来の安心につながると思えば、多少なりとも納得感が生まれるのではないでしょうか。

参考資料

柴田 充輝