次第に“息子の言い分を聞いたうえで、こちらの都合を主張したって構わないのでは?”と思うように。気持ちに寄り添うことは大切ですが、いかなるときも子どもの想いとタイミングに周囲がすべて合わせるのってどうなの?とも思うようになりました。

社会に出れば、人に合わせて自分の主張を曲げないといけないこともあります。想いを言葉にして伝えることの大切さも教えながら、人に合わせることのよさや理不尽さを学ぶ必要だってあるのではないかと思ったのです。

そして、お互いひとりの人間同士だから私がイライラしてけんかすることだってあるし、反対に息子がなんだかご機嫌ななめなときも、ムシャクシャする日もあるよねって思うようにしました。

負の感情を否定しないことで、逆に息子が自分の思い通りにならなくても変にイライラしなくなった気がします。結果的に、息子の気持ちも認めてあげられているのかもしれません。

ひとつだけ気をつけていることは、手をあげないことはもちろん、イライラしてしまったときは息子にきちんと「さっきはママが悪かったね、ごめんね」と言うようにしています。

すると息子も3歳になった頃には「これをしたら嬉しいよね、これは悲しいよね、困るよね」と、相手の気持ちを自分で考えながら行動してくれるようになりました。園でも「お友だちに優しくできる」と評価してもらえる、穏やかな性格になっています。

子どももひとりの人間! 親の思い通りにはならない

今回は、境界線が曖昧になりがちな“しつけることと支配することの違い”について、これまで感じてきたエピソードをご紹介しました。しつけも子どもの性格も家庭によってさまざまで、正解はないのかもしれません。しかし、子どもを親の思い通りにしようとするのは違う!ということは、これから先も忘れてはならないように思います。

桜井 まどか