2025年4月分の年金から、年金額が原則1.9%の引き上げとなります。公的年金は、物価や名目手取り賃金の変動に応じて毎年度改定されていますが、引き上げ幅は実際の物価上昇率より低くなるため、実質目減りとなってしまいます。
限られた年金収入でやりくりする高齢者世帯の中には、苦しい生活を送っている世帯もあります。
本記事では、所得が少ない年金受給者に向けた支援制度の概要や、国民年金・厚生年金の平均受給額について解説していきます。
現在年金を受給している人はもちろん、老後資金に不安を感じている現役世代もぜひ参考にしてください。
1. 2019年にスタート「年金生活者支援給付金」制度とは
「年金生活者支援給付金」は2019年10月1日に導入された比較的新しい制度であり、年金を受給している方の中には、まだこの制度について知らない方もいるかもしれません。
この制度は、公的年金を含めても所得が一定基準額以下となる人を対象とする給付金です。
制度創設時の試算によると、老齢年金生活者支援給付金の対象者は約610万人、障害年金生活者支援給付金と遺族年金生活者支援給付金の対象者は合わせて約200万人と、多くの年金受給者がこの給付金制度の恩恵を受けています。
年金生活者支援給付金は受け取る年金の種類に応じて、次の3つに分かれています。
1.1 年金生活者支援給付金は3種類
- 老齢年金生活者支援給付金(補足的老齢年金生活者支援給付金)
- 障害年金生活者支援給付金
- 遺族年金生活者支援給付金
2カ月に一度の年金支給日に、公的年金へ上乗せして受け取ることができます。
次章では、それぞれの年金生活者支援給付金の支給要件などを確認してみましょう。