6. 老齢年金「厚生年金・国民年金」の受給額は少ないの?平均月額をチェック
では最後に、厚生労働省年金局「令和5年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」を参考に、厚生年金と国民年金の平均年金月額を確認していきましょう。
6.1 「厚生年金」の平均受給額・受給割合
- 〈全体〉平均年金月額:14万6429円
- 〈男性〉平均年金月額:16万6606円
- 〈女性〉平均年金月額:10万7200円
※国民年金の金額を含む
年金額ごとの受給者数を見てみると、多くの人が10万円〜20万円の範囲で年金を受け取っていることがわかります。
- 10万円未満:約340万人
- 10万円以上~15万円未満:約500万人
- 15万円以上~20万円未満:約500万人
- 20万円以上:約260万人
このデータからもわかるように、高額な年金を受け取る人がいる一方で、10万円以下の年金額で生活している人も多く、特に女性の年金額は男性よりも低い傾向にあります。
6.2 「国民年金」の平均受給額・受給割合
- 〈全体〉平均年金月額:5万7584円
- 〈男性〉平均年金月額:5万9965円
- 〈女性〉平均年金月額:5万5777円
受給額の分布を見ると、多くの人が6万円前後の年金を受け取っていることがわかります。
- 5万円未満:約770万人
- 5万円以上~7万円未満:約2340万人
- 7万円以上:約230万人
これらのデータから、年金の受給額は個人の収入や加入期間に依存し、大きな差があることがわかります。しかし、高額な年金を受け取る人でも、現役時代に比べて収入が減少する点は共通しています。
特に国民年金のみで生活する人や、厚生年金でも受給額が低い人にとっては、日常生活を送るうえでの負担が大きくなります。そのため、一定の条件を満たす人に対して支給される年金生活者支援給付金は、生活の安定を支える重要な制度と言えるでしょう。
今後も老後の生活費を考えるうえで、自身の年金受給額を確認し、必要な支援制度を活用することが重要です。
7. まとめにかえて
厚生労働省「2023(令和5)年 国民生活基礎調査の概況」によると、老後、公的年金・恩給のみで生活している高齢者世帯は41.7%です。
半数以上の高齢者世帯が、その他の収入で不足する生活費を補填していることがわかります。
本記事でご紹介したように、低年金で一定の要件を満たす人には年金生活者支援給付金が支給されますが、補助的なものであり、これだけで生計を大きく立て直せるものではないでしょう。
こうしたシニアの暮らしぶりから、現役世代は老後に向けて何をすべきかが見えたのではないでしょうか。
参考資料
- 厚生労働省「年金生活者支援給付金制度について」
- 厚生労働省「生活保護制度の概要」
- 厚生労働省年金局「令和5年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」
- 日本年金機構「年金生活者支援給付金制度について」
- 日本年金機構「年金生活者支援給付金の概要」
- 日本年金機構「老齢基礎年金を新規に請求される方の請求手続きの流れ」
- 日本年金機構「年金生活者支援給付金のみの源泉徴収票は送付されるのでしょうか。」
- 厚生労働省「2023(令和5)年 国民生活基礎調査の概況」
和田 直子