筆者はファイナンシャルアドバイザーとして日々お客様の資産運用に携わるなかで、幅広い世代の方々から資産に関する相談を受けています。その中には、いわゆる富裕層と呼ばれる方々も少なくありません。
「富裕層」と聞くと、派手な生活を想像される方もいるかもしれませんが、実際には堅実な資産形成を続けた結果として富を築いたというケースも多く見受けられます。そんな方々のお金に対する考え方や、賢いお金の守り方や増やし方は、将来の資産形成をするうえで参考になるでしょう。
本記事では、そうした富裕層の実例をもとに、資産形成における視点や行動を紹介します。
1. 富裕層(資産1億円以上)は日本にどのくらいいるの?
野村総合研究所のレポートによると、世帯の純金融資産保有額に基づき、階層を「マス層」から「超富裕層」までの5つに分類しています。
具体的には、5000万円以上の資産を持つ世帯を「準富裕層」、1億円以上5億円未満を「富裕層」、そして5億円以上を「超富裕層」と定義しています。
純金融資産保有額別の世帯数と資産規模
出所:株式会社野村総合研究所「野村総合研究所、日本の富裕層・超富裕層は合計約165万世帯、その純金融資産の総額は約469兆円と推計」(2025年2月13日)
日本国内には、純金融資産1億円以上を保有する富裕層(超富裕層を含む)が165万3000世帯存在するとされています。
- 超富裕層(5億円以上):11万8000世帯/135兆円
- 富裕層(1億円以上5億円未満):153万5000世帯/334兆円
- 準富裕層(5000万円以上1億円未満):403万9000世帯/333兆円
- アッパーマス層(3000万円以上5000万円未満):576万5000世帯/282兆円
- マス層(3000万円未満):4424万7000世帯/711兆円
実は、日本の超富裕層や富裕層の資産規模や人口割合は増加傾向にあります。
物価の上昇が続く一方で、一般的な日本人の金融所得が減少傾向にある中、なぜ富裕層が増加しているのか、その背景にはどのような要因があるのでしょうか。