2025年度の年金額は前年度比で1.9%の引き上げとなります。

しかし、株式会社帝国データバンクが行う「食品主要195社」価格改定動向調査によると、2025年4月の飲食料品値上げは合計で4225品目とのこと。家計への負担が増え続ける中、年金額の引き上げを実感することはできるのでしょうか。

今回は現役シニアが受け取っている「厚生年金」と「国民年金」の平均受給額について解説します。老後生活を考える上でのひとつの目安になれば幸いです。

1. 日本の年金制度は「2階建て」

日本の年金制度は、よく「2階建て」と表現されます。

これは、1階部分にあたる「国民年金(基礎年金)」と、2階部分にあたる「厚生年金」の2つの制度で構成されているためです。  

それぞれの年金制度について、基本的な内容を振り返ってみましょう。

厚生年金と国民年金の仕組み、2枚目から年金一覧表&ねんきん定期便についてチェック!1/11

厚生年金と国民年金の仕組み

出所:日本年金機構「公的年金制度の種類と加入する制度」等を参考にLIMO編集部作成

1.1 1階部分:国民年金の「加入者・保険料・年金額」

加入対象者はどんな人?

  • 原則として日本に住む20歳から60歳未満の全員が加入

年金保険料はいくら?

  • 全員一律、年度ごとに改定あり(※1)

老後の受給額はどう決まる?

  • 保険料を全期間(480カ月)納付すれば満額の老齢基礎年金を受給可能(※2)

※1 国民年金保険料:2025年度月額は1万7510円
※2 国民年金(老齢基礎年金)の満額:2025年度月額は6万9308円

1.2 2階部分:厚生年金の「加入者・保険料・年金額」

加入対象者はどんな人?

  • 会社員や公務員、またパートで特定適用事業所(※3)に働き一定要件を満たした場合に国民年金に上乗せで加入

年金保険料はいくら?

  • 収入に応じて(上限あり)変動(※4)

老後の受給額はどう決まる?

  • 加入期間や納めた保険料により個人差あり

国民年金と厚生年金は、加入対象や年金保険料の設定、老後に受け取る年金額の計算方法が異なります。

そのため、現役時代の年金加入状況によって、実際の受給額には個人差が生じます。

次に、厚生労働省が発表した2025年度の年金額改定について詳しく見ていきましょう。

※3 特定事業所:1年のうち6カ月間以上、適用事業所の厚生年金保険の被保険者(短時間労働者は含まない、共済組合員を含む)の総数が51人以上となることが見込まれる企業など
※4 厚生年金の保険料額:標準報酬月額(上限65万円)、標準賞与額(上限150万円)に保険料率をかけて計算されます。

2. 【4月分から増額】2025年度の年金額は「1.9%」増額改定

2025年度の年金額は、2024年度から1.9%の引き上げが決定しました。

2.1 2025年度の国民年金と厚生年金の年金額例はいくら?

  • 国民年金(老齢基礎年金(満額)):6万9308円(+1308円)
  • 厚生年金:23万2784円(夫婦2人分)(+4412円)

※昭和31年4月1日以前生まれの方の老齢基礎年金の満額は月額6万9108円(対前年度比+1300円)
※厚生年金は「男性の平均的な収入(平均標準報酬(賞与含む月額換算)45万5000円)」で40年間就業した場合に受け取り始める年金(老齢厚生年金と2人分の老齢基礎年金(満額))の給付水準

これまで、上記の2つの年金例が公表されてきましたが、今回は新たに現役時代の働き方や収入に基づく年金額例も示されています。

3. 働き方によって「年金額」はどのくらい変わる?

多様なライフコースに応じた年金額

多様なライフコースに応じた年金額

出所:厚生労働省「令和7年度の年金額改定についてお知らせします」

 

3.1 ①男性・厚生年金期間中心のケース

年金月額:17万3457円

  • 平均厚生年金期間:39.8年
  • 平均収入:50万9000円※賞与含む月額換算。以下同じ。
  • 基礎年金:6万8671円
  • 厚生年金:10万4786円

3.2 ②男性・国民年金(第1号被保険者)期間中心のケース

年金月額:6万2344円

  • 平均厚生年金期間:7.6年
  • 平均収入:36万4000円
  • 基礎年金:4万8008円
  • 厚生年金:1万4335円

3.3 ③女性・厚生年金期間中心のケース

年金月額:13万2117円

  • 平均厚生年金期間:33.4年
  • 平均収入:35万6000円
  • 基礎年金:7万566円
  • 厚生年金:6万1551円

3.4 ④女性・国民年金(第1号被保険者)期間中心のケース

年金月額:6万636円

  • 平均厚生年金期間:6.5年
  • 平均収入:25万1000円
  • 基礎年金:5万2151円
  • 厚生年金:8485円

3.5 ⑤女性・国民年金(第3号被保険者)期間中心のケース

年金月額:7万6810円

  • 平均厚生年金期間:6.7年
  • 平均収入:26万3000円
  • 基礎年金:6万7754円
  • 厚生年金:9056円

上記はあくまで年金額の一例ですが、厚生年金への加入期間が長く、収入が高いほど年金額が増える傾向が見受けられます。  

また、「国民年金のみに加入」と「国民年金と厚生年金のどちらにも加入」で、受け取る年金額に大きな影響を与えることも分かります。  

では、増額後の「2025年度の年金」はいつから受け取れるのでしょうか。

4. 増額後の「2025年度の年金」はいつから受け取れる?

公的年金は、支給月に前々月分と前月分の2カ月分が合算して支給されます。

【2025年】年金支給日カレンダー3/11

年金カレンダー

出所:日本年金機構「年金はいつ支払われますか。」をもとにLIMO編集部作成

4.1 【一覧で確認】支給日:支給対象月

  • 2025年2月14日(金):12月・1月
  • 2025年4月15日(火) :2月・3月分
  • 2025年6月13日(金) :4月・5月分
  • 2025年8月15日(金) :6月・7月分
  • 2025年10月15日(水) :8月・9月分
  • 2025年12月15日(月) :10月・11月分

上記のように、4月15日に2月・3月分が支給された後、6月13日に「2025年度分」の年金額で、4月・5月分が支給されることになります。  

次に、厚生労働省の一次資料を基に、現在のシニア世代がどの程度の年金を受け取っているのかを見ていきましょう。

5. 60歳代「厚生年金と国民年金」の平均月額はいくら?

ここからは、厚生年金と国民年金の平均月額を年齢層ごとに確認していきましょう。  

なお、この記事で紹介する厚生年金の月額には、国民年金の月額部分が含まれています。

5.1 【厚生年金一覧表】60歳代の平均月額

【厚生年金一覧表】60歳代の平均年金月額4/11

60歳代の厚生年金額

出所:厚生労働省年金局「令和5年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」をもとにLIMO編集部作成

  • 60歳:厚生年金9万6492円
  • 61歳:厚生年金10万317円
  • 62歳:厚生年金6万3244円
  • 63歳:厚生年金6万5313円
  • 64歳:厚生年金8万1700円
  • 65歳:厚生年金14万5876円
  • 66歳:厚生年金14万8285円
  • 67歳:厚生年金14万9205円
  • 68歳:厚生年金14万7862円
  • 69歳:厚生年金14万5960円

5.2 【国民年金一覧表】60歳代の平均月額

【国民年金一覧表】60歳代の平均年金月額5/11

60歳代の国民年金額

出所:厚生労働省年金局「令和5年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」をもとにLIMO編集部作成

  • 60歳:国民年金4万3638円
  • 61歳:国民年金4万4663円
  • 62歳:国民年金4万3477円
  • 63歳:国民年金4万5035円
  • 64歳:国民年金4万6053円
  • 65歳:国民年金5万9599円
  • 66歳:国民年金5万9510円
  • 67歳:国民年金5万9475円
  • 68歳:国民年金5万9194円
  • 69歳:国民年金5万8972円

現在の公的年金制度では、老齢年金の受給開始年齢は原則として65歳です。

65歳以降の年金月額は、厚生年金が14万円台、国民年金が5万円台となっています。

なお、64歳までは繰上げ受給を選んで早期に年金を受け取り始めた人や、特別支給の老齢厚生年金の報酬比例部分のみを受給している人が含まれており、これらの年金額は65歳以降よりも低くなっています。

6. 70歳代「厚生年金と国民年金」の平均月額はいくら?

続いて、70歳代の各年齢の年金月額を見ていきます。

6.1 【厚生年金一覧表】70歳代の平均月額

【厚生年金一覧表】70歳代の平均年金月額6/11

70歳代の厚生年金額

出所:厚生労働省年金局「令和5年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」をもとにLIMO編集部作成

  • 70歳:厚生年金14万4773円
  • 71歳:厚生年金14万3521円
  • 72歳:厚生年金14万2248円
  • 73歳:厚生年金14万4251円
  • 74歳:厚生年金14万7684円
  • 75歳:厚生年金14万7455円
  • 76歳:厚生年金14万7152円
  • 77歳:厚生年金14万7070円
  • 78歳:厚生年金14万9232円
  • 79歳:厚生年金14万9883円

6.2 【国民年金一覧表】70歳代の平均月額

【国民年金一覧表】70歳代の平均年金月額7/11

70歳代の国民年金額

出所:厚生労働省年金局「令和5年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」をもとにLIMO編集部作成

  • 70歳:国民年金5万8956円
  • 71歳:国民年金5万8569円
  • 72歳:国民年金5万8429円
  • 73歳:国民年金5万8220円
  • 74歳:国民年金5万8070円
  • 75歳:国民年金5万7973円
  • 76歳:国民年金5万7774円
  • 77歳:国民年金5万7561円
  • 78歳:国民年金5万7119円
  • 79歳:国民年金5万7078円

70歳代の平均年金月額は、厚生年金で14万円台、国民年金で5万7000~8000円台となっています。

7. 80歳代「厚生年金と国民年金」の平均月額はいくら?

では、80歳代の各年齢の年金月額はどうでしょうか。

7.1 【厚生年金一覧表】80歳代の平均月額

【厚生年金一覧表】80歳代の平均年金月額8/11

80歳代の厚生年金額

出所:厚生労働省年金局「令和5年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」をもとにLIMO編集部作成

  • 80歳:厚生年金15万1580円
  • 81歳:厚生年金15万3834円
  • 82歳:厚生年金15万6103円
  • 83歳:厚生年金15万8631円
  • 84歳:厚生年金16万59円
  • 85歳:厚生年金16万1684円
  • 86歳:厚生年金16万1870円
  • 87歳:厚生年金16万2514円
  • 88歳:厚生年金16万3198円
  • 89歳:厚生年金16万2841円

7.2 【国民年金一覧表】80歳代の平均月額

【国民年金一覧表】80歳代の平均年金月額9/11

80歳代の国民年金額

出所:厚生労働省年金局「令和5年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」をもとにLIMO編集部作成

  • 80歳:国民年金5万6736円
  • 81歳:国民年金5万6487円
  • 82歳:国民年金5万6351円
  • 83歳:国民年金5万8112円
  • 84歳:国民年金5万7879円
  • 85歳:国民年金5万7693円
  • 86歳:国民年金5万7685円
  • 87歳:国民年金5万7244円
  • 88歳:国民年金5万7076円
  • 89歳:国民年金5万6796円

80歳代の平均受給額は、厚生年金が15万円~16万円台、国民年金が5万6000円~8000円台となっています。  

どの年代でも、平均月額に大きな年齢差は見られませんでした。

ただし、これはあくまで「各年齢の平均」であることに注意が必要です。  

老後に受け取る年金額は現役時代の年金加入状況によって個人差が大きいため、次章では年金額の個人差に焦点を当て、60歳~90歳以降の全年齢の年金月額分布を見ていきましょう。

8. 【年金一覧表】厚生年金・国民年金の平均はいくら?

ここからは、60歳以上のすべての受給権者における、厚生年金と国民年金の受給額分布を確認していきます。

厚生年金・国民年金《平均月額の男女差・個人差に着目》10/11

厚生年金の平均額(全年齢)

出所:厚生労働省年金局「令和5年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」をもとにLIMO編集部作成

8.1 【シニア全体】厚生年金の平均月額

〈全体〉平均年金月額:14万6429円

  • 〈男性〉平均年金月額:16万6606円
  • 〈女性〉平均年金月額:10万7200円

※国民年金部分を含む

年金月額階級ごとの受給者数

  • 1万円未満:4万4420人
  • 1万円以上~2万円未満:1万4367人
  • 2万円以上~3万円未満:5万231人
  • 3万円以上~4万円未満:9万2746人
  • 4万円以上~5万円未満:9万8464人
  • 5万円以上~6万円未満:13万6190人
  • 6万円以上~7万円未満:37万5940人
  • 7万円以上~8万円未満:63万7624人
  • 8万円以上~9万円未満:87万3828人
  • 9万円以上~10万円未満:107万9767人
  • 10万円以上~11万円未満:112万6181人
  • 11万円以上~12万円未満:105万4333人
  • 12万円以上~13万円未満:95万7855人
  • 13万円以上~14万円未満:92万3629人
  • 14万円以上~15万円未満:94万5907人
  • 15万円以上~16万円未満:98万6257人
  • 16万円以上~17万円未満:102万6399人
  • 17万円以上~18万円未満:105万3851人
  • 18万円以上~19万円未満:102万2699人
  • 19万円以上~20万円未満:93万6884人
  • 20万円以上~21万円未満:80万1770人
  • 21万円以上~22万円未満:62万6732人
  • 22万円以上~23万円未満:43万6137人
  • 23万円以上~24万円未満:28万6572人
  • 24万円以上~25万円未満:18万9132人
  • 25万円以上~26万円未満:11万9942人
  • 26万円以上~27万円未満:7万1648人
  • 27万円以上~28万円未満:4万268人
  • 28万円以上~29万円未満:2万1012人
  • 29万円以上~30万円未満:9652人
  • 30万円以上~:1万4292人

厚生年金の平均年金月額は男女全体で14万円台ですが、男性は16万円台、女性は10万円台と、男女間に差があります。

さらに、月額1万円未満の低年金受給者から、25万円を超える高額受給者まで、年金額には大きな幅があり、受給者層は多様です。

8.2 【シニア全体】国民年金の平均月額

〈全体〉平均年金月額:5万7584円

  • 〈男性〉平均年金月額:5万9965円
  • 〈女性〉平均年金月額:5万5777円

年金月額階級ごとの受給者数

  • 1万円未満:5万8811人
  • 1万円以上~2万円未満:24万5852人
  • 2万円以上~3万円未満:78万8047人
  • 3万円以上~4万円未満:236万5373人
  • 4万円以上~5万円未満:431万5062人
  • 5万円以上~6万円未満:743万2768人
  • 6万円以上~7万円未満:1597万6775人
  • 7万円以上~:227万3098人

国民年金の平均年金月額は、男女ともに5万円台で、「6万円以上~7万円未満」が最も多い範囲となっています。

多くの人が満額に近い年金額を受給している一方で、1万円未満の低年金を受け取っている人も一定数存在していることがわかります。

9. 自分の年金記録を確認しよう

公的年金は生涯にわたって支給される重要なライフラインです。

年金加入状況や受給見込額は、「ねんきん定期便」や「ねんきんネット」を活用して確認しておきましょう。

これらで年金記録を確認した際に、「未加入」の期間がある場合は、その点に注意し、早めに対応することが重要です。

9.1 年金記録に「もれ」や「誤り」があるかもしれないケースとは?

「未加入」期間に「働いていなかったケース」

  • 学生であったが、国民年金に加入していた。
  • 夫(妻)の扶養家族であったが国民年金に加入していた(昭和61年3月以前に限る)

「未加入」期間に「働いてたケース」

  • 退職後、結婚し姓が変わった
  • いろいろな名前の読み方ができる
  • 事情により本名とは異なる名前で勤めた
  • 事情により本来とは異なる生年月日で勤めた
  • 転職のたびに年金手帳が新たに発行されたが、年金手帳を一つにまとめる手続きをしていない
  • 同じ会社(グループ)内で転勤や出向を繰り返していた
  • 勤務先の会社が、合併・社名変更・倒産した
  • 試用期間中に退職した
  • 保険の外交員、期間工などとして勤めていた

その他のケース

  • 保険料を納付したにもかかわらず、「未納」となっている
  • 標準報酬額(※)が実際と異なっている、または大きく変動している

※給与などの平均を区切りのよい一定の幅で区分し、納付する保険料額の計算のもととなるもの

上記のいずれかの項目に該当する場合、年金記録に「もれ」や「誤り」がある可能性があります。

もし気になる点があれば、最寄りの年金事務所に問い合わせて、確認や修正を依頼することをおすすめします。

10. まとめにかえて

今回は公的年金(老齢年金:厚生年金と国民年金)の平均受給額について解説してきました。

年金額は、賃金や物価の動向を見ながら毎年度見直しが行われていますが、マクロ経済スライドにより年金の給付水準を調整しているため、急激に年金額が増えるということは考えにくいでしょう。

こうした制度の仕組みを鑑みると、老後に訪れるかもしれない物価上昇にも対応できるよう老後資金を確保しておくと安心です。

最近ではNISAやiDeCoなどの税制優遇制度を活用して老後資金準備を始める人が増えています。

それぞれの制度にはメリット・デメリットがあるため、自分にあった資産運用方法を調べてみてはいかがでしょうか。

参考資料