5. 国民年金・厚生年金の「個人差」はどのくらい？受給額ごとの人数を確認
それでは最後に、厚生労働省の資料を基に、国民年金と厚生年金それぞれの「受給額ごとの人数」を確認し、どの程度個人差が生じているのかを見ていきましょう。
5.1 国民年金（老齢基礎年金）の平均年金月額と受給額ごとの人数をチェック
〈全体〉平均年金月額：5万7584円
- 〈男性〉平均年金月額：5万9965円
- 〈女性〉平均年金月額：5万5777円
- 1万円未満：5万8811人
- 1万円以上～2万円未満：24万5852人
- 2万円以上～3万円未満：78万8047人
- 3万円以上～4万円未満：236万5373人
- 4万円以上～5万円未満：431万5062人
- 5万円以上～6万円未満：743万2768人
- 6万円以上～7万円未満：1597万6775人
- 7万円以上～：227万3098人
国民年金の平均月額は5万円台ですが、実際には多くの受給者が6万円から7万円程度を受け取っています。
ほとんどの受給者が満額に近い金額を受け取っていますが、なかには1万円未満という低額の受給者も一定数存在していることがわかります。
次に、厚生年金の受給額について、どの程度の差があるのかを見ていきましょう。
5.2 厚生年金の平均年金月額と受給額ごとの人数をチェック
〈全体〉平均年金月額：14万6429円
- 〈男性〉平均年金月額：16万6606円
- 〈女性〉平均年金月額：10万7200円
※国民年金部分を含む
- 1万円未満：4万4420人
- 1万円以上～2万円未満：1万4367人
- 2万円以上～3万円未満：5万231人
- 3万円以上～4万円未満：9万2746人
- 4万円以上～5万円未満：9万8464人
- 5万円以上～6万円未満：13万6190人
- 6万円以上～7万円未満：37万5940人
- 7万円以上～8万円未満：63万7624人
- 8万円以上～9万円未満：87万3828人
- 9万円以上～10万円未満：107万9767人
- 10万円以上～11万円未満：112万6181人
- 11万円以上～12万円未満：105万4333人
- 12万円以上～13万円未満：95万7855人
- 13万円以上～14万円未満：92万3629人
- 14万円以上～15万円未満：94万5907人
- 15万円以上～16万円未満：98万6257人
- 16万円以上～17万円未満：102万6399人
- 17万円以上～18万円未満：105万3851人
- 18万円以上～19万円未満：102万2699人
- 19万円以上～20万円未満：93万6884人
- 20万円以上～21万円未満：80万1770人
- 21万円以上～22万円未満：62万6732人
- 22万円以上～23万円未満：43万6137人
- 23万円以上～24万円未満：28万6572人
- 24万円以上～25万円未満：18万9132人
- 25万円以上～26万円未満：11万9942人
- 26万円以上～27万円未満：7万1648人
- 27万円以上～28万円未満：4万268人
- 28万円以上～29万円未満：2万1012人
- 29万円以上～30万円未満：9652人
- 30万円以上～：1万4292人
※国民年金部分を含む
厚生年金は国民年金に上乗せして支給されるため、「国民年金のみを受給」する場合よりも、多くの年金を受け取る可能性が高いです。
しかし、厚生年金の受給者の中には、年金額が国民年金の満額である6万円台に達していない人も存在します。
厚生年金でも低い年金額の人がいる理由として、現役時代の勤務状況や保険料の納付状況が影響しており、その結果、十分な年金額を受け取れない場合があると考えられます。
これらを総合的に見ると、厚生年金は受給額の個人差が大きく、特に収入や保険料の納付履歴が重要な要因であると言えます。
6. まとめにかえて
今回は、60歳代、70歳代、80歳代、90歳以上に分けて、国民年金と厚生年金の受給額の平均値について確認していきました。
しかし、今回ご紹介したのはあくまで「平均値」です。
では、平均的な年金受給額があれば、自身が望む老後生活を送れるのでしょうか。答えは「ノー」です。
冒頭でもお伝えした通り、生活水準や月に必要な金額は世帯によって異なります。年金額が月に15万円あれば十分に暮らせる方もいれば、月に30万円あっても足りないと感じる方もいるでしょう。
大切なことは「平均値より多いか少ないか」ではなく、「自分の受給額で老後生活を十分に送れるかどうか」です。
平均はあくまで参考程度にとどめ、自分に当てはめた必要金額をイメージすることが大切です。
参考資料
荻野 樹
