はじめに

これまで忙しく働いたビジネスパーソンが定年を迎えると、仕事に勤しんできた生活とは異なるライフスタイルで日々を過ごすことになる人が多くいます。では定年後の生活を充実させるためにはどのような過ごし方をすればよいでしょうか。

また定年後に仕事を続けるか続けないかの選択も、今後のライフスタイルに大きな変化をもたらします。老後の暮らしを楽しく、生き生きと過ごすために定年後のプランをしっかりと考えてみましょう。

目次

1. 定年後は働くか仕事をやめるか
2. 定年後も同じ会社で働きたいときには
3. 定年後に新しい仕事を探すときには
4. 定年後に仕事をしないなら
5. 定年後には趣味を充実させるのがおすすめ!
6. 定年後の退職金の使い方を考えよう
7. 定年後のパートナーとの付き合い方も考えておこう

1. 定年後は働くか仕事をやめるか

日本では高齢者雇用安定法に基づいた定年に関する取り決めがあり、2013年4月の改正によって以前までは60歳とされていた定年が原則65歳となりました。そのため多くの人が65歳に定年後も働き続けるか、仕事をやめるかの選択をする時になります。

働き続けるか、仕事をやめるかを判断するための判断材料で最も多いのは、老後の経済状況や資金がどのくらいあるかという事ではないでしょうか。定年後に仕事を辞め、収入が年金のみになると、現役時代と比べて大きく収入が落ちることになりますが、それでも十分に生活費を工面できるかを試算しておきましょう。

また普段の生活には困らない資金があったとしても、病気や怪我など、不慮の事態でお金がかかることもありますので、貯金や生命保険で備えておくなど、なにがあっても安心といえる状態にしておくほうが望ましいでしょう。

一方、定年後も働き続ける場合は安定した収入は期待できますが、定年後も働くと年金が減る可能性があります。それは年金がもらえる年齢の人が厚生年金に加入して働いていると給与額に応じて老齢厚生年金の支給金額が下がるしくみで、「在職老齢年金」といわれます。在職老齢年金によって給与額が高い場合は、老齢厚生年金が全額支給停止となることもありますが、在職老齢年金によって支給金額が上下するのは老齢厚生年金のみで、国民年金から支給される老齢厚生年金には影響はありません。

在職老齢年金は年齢によって全額支給停止となるボーダーの金額が異なり、簡単に言えば65歳未満で月の収入(給与+年金)が28万円以下、65歳以上では収入が48万円以下であれば全額年金が支給されますので、働き方を考える際の一つの判断材料にしましょう。

2. 定年後も同じ会社で働きたいときには

定年後も仕事をしたいと考える場合には、まず自分の体調や今後のライフスタイルを考慮した働き方を考える必要があります。仕事を選ぶ際は今まで勤務していた会社で働くか、別の会社に再就職先を探すかのどちらかになりますが、今まで在職していた会社で働く場合はどうなるのでしょうか。

今まで在職していた会社を選ぶ場合、「勤務延長制度」と「再雇用制度」のどちらを使うかを選択できます。勤務延長制度を利用した場合には定年後も定年前と同じ条件で働き、給与や勤務時間だけでなく、通常は業務内容も以前と同様にして貰えることが多いようです。勤務延長制度を使った場合は、今までの状態を継続して働けることが魅力ですが、勤務延長制度は取り入れていない会社も多いため、在職している会社に「勤務延長制度」があるかどうかを事前にしっかり確認しておき、定年後に慌てないようにしましょう。

一方、再雇用制度の場合は勤務延長制度と異なり、同じ会社であっても一度会社を退職し、再度就職したという形になり、勤務条件や待遇はも変更されることがほとんどです。通常は正社員ではなく嘱託社員などとして採用されることが多く、給与は下がるのが一般的な傾向のようです。しかし、勤務時間が短くなる事が多いため、老後はプライベートも楽しめるようにしたいという人には魅力があるともいえます。しかし再雇用制度で入社した場合はこれまでの仕事と全く違う仕事をやることも多いので、業務内容や待遇などがどのくらい変更があるのかをしっかり確認しておきましょう。

3. 定年後に新しい仕事を探すときには

定年後は今までと違う仕事をしたいという場合には、どのような会社に再就職するか、どんな仕事をするのかなどを考える必要があります。定年後は年齢がネックとなり特別に技術や経験が重視される職種でない限りは、正社員として雇用してもらうのが難しいことが一般的ですが、現代ではシニア層を雇用しようという動きは強いので、雇用形態にこだわらなければ再就職先を探すことは可能です。では定年後はどのような媒体で仕事を探すのが良いのでしょうか。

シルバー人材センター

定年後に仕事を探す場合はシルバー人材センターを利用すると良いでしょう。シルバー人材センターは公益社団法人として運営されているので信頼できる紹介先が多くなっています。しかし、シルバー人材センターの利用には年会費がかかるため注意が必要です。

シニア向け求人情報サイト

シニア向けの求人サイトは求人の幅が広く、未経験の人も採用している求人が豊富にあります。スマホやパソコンで気軽に検索することができるので、お気に入りのサイトを探してみると良いでしょう。

知人や友人の紹介

知人や友人の紹介を受けて再就職するというのも信頼できる職場を見つけやすい方法です。これまで培ってきた人脈を大いに利用しましょう。

自営業を始める

定年後に飲食店や販売店など、自営業を始める人もいます。資金がある場合には挑戦してみるのも良いかもしれません。

4. 定年後に仕事をしないなら

定年後には仕事をしないという場合にはしっかりとした資金計画を立てておくことが大切です。収入は基本的には年金だけになるという人も多いため、そのような人は現役時代と比べると毎月使えるお金がグッと減額されることも予想されますので、年金の支給金額と生活費を比べて無理のない生活ができるかをしっかり確認しておきましょう。

一方貯金や個人年金保険、不動産投資などによる不労所得がある場合、収入が年金のみの場合と比べれば余裕があるかもしれませんが、同じように本当に仕事をしなくても老後の生活に困らないかどうかはよく考えてから決断しましょう。

資金面以外でも、仕事をしない場合の老後の過ごし方を考える必要があります。定年前まで仕事一本で頑張っていた場合、退職後に家にいると何をしたら良いかわからなくなってしまい、結果的に生きがいを見失ってしまうこともありえるからです。そんなときは新たに趣味を始めて充実した生活を送れるようにすると良いですが、趣味を楽しむためにはお金が必要になる場合も多いので、定年後の資金計画を立てる上では老後の趣味や過ごし方を総合的に考えておくと安心でしょう。

5. 定年後には趣味を充実させるのがおすすめ!

定年後の生活を充実させるためには、歳をとっても長く楽しめるような趣味を選ぶとよいでしょう。ここでは定年後におすすめな趣味の一例を紹介します。

陶芸や油絵などの創作や芸術活動

創作や芸術は時間をかけて学び、完成させることが大切になるので老後に時間が十分にできてから始める趣味として適しています。特に陶芸や油絵は座って出来るので、足腰への負担が少ないのでおすすめです。

登山

山歩きは体力が必要ですが、山頂からの景色や森林とのふれあいなど、心と体に良い体験がたくさんできます。初めはハイキング程度から始め、だんだんと体力をつけていきましょう。体力に自信がない人はバスツアーなどはいかがでしょうか。バス旅行の一環として山歩きを楽しんでも良いでしょう。

シニア向けスポーツ

シニア向けのスポーツとしてゲートボールやゴルフは人気があり、シニアサークルの活動も盛んです。

家庭菜園

最近では家庭菜園を楽しむシニア世代も多く、野菜や果物を自分で作るのは食べるのが好きな人にとっても、植物を育てるのが好きな人にとってもやりがいがあります。その作物を使って料理を楽しむのを趣味とするのも良いでしょう。

6. 定年後の退職金の使い方を考えよう

定年のときには退職金が支給されるのが一般的で、勤続年数が長かった人ほど多額のお金が一度に入るので、老後の生活準備に重宝されています。主な退職金の使い方として住宅ローンを繰り上げ返済したり、住宅のリフォームをしてバリアフリー化したり、老後の暮らしに適した家を購入するというケースもあります。

ただし、気をつけておきたいのは退職金の使い過ぎで後々苦労をしたり後悔をするケースもあることです。一度にお金が入ったため一時的に裕福になった印象を受け、定年後で実際には収入が減っているにもかかわらず浪費してしまうということは珍しくありません。しかし、退職金は定年後の長い生活をより良いものにするために欠かせないものなので、不用意に手を付けずに取っておいたほうが無難です。

7. 定年後のパートナーとの付き合い方も考えておこう

定年後仕事をやめたり、勤務時間を短くしたり、休みの日を増やしたりすると家にいる時間が長くなりますので、パートナーとの付き合い方も今まで以上に考えてみると良いでしょう。例えば、今まで昼間は家にいなかったパートナーが家にいるというだけで、環境が変わったストレスで「夫源病」と呼ばれるストレス性の疾患にかかってしまうこともあります。

熟年離婚を避けるためにも、夫婦円満のためにパートナーとのコミュニケーションの機会を増やしてみるのはいかがでしょうか。コミュニケーションをとるためには同じ趣味を一緒に始めたり、料理を一緒にする習慣を作ったり、子供や孫に訪問する機会を増やしたりするなどの方法がありますが、自分が全て主導するというスタンスではなく、労りの気持ちを持ち、妻と対等な目線で話をすることが重要です。

定年後にどのように生活をするかを夫婦で事前に話し合っておき、計画を実行しながらお互いに少しずつ慣れていくのも良い方法かもしれませんね。

おわりに

定年後は仕事やライフスタイルなどが今までとは大きく変わることもあり、今後の生き方を考える一つの転機となる事も多いでしょう。定年後も働き続けるのか、それとも仕事はせずに趣味を楽しむか、人それぞれ選ぶ道は違いますが老後の暮らし方をより良くするために努力をするのはみんな同じです。

定年後の生活を考える上で重要な年金などの収入の計算などをしっかりと行ない、今後の生活を安心して過ごせる計画を立ててみるのはいかがでしょうか。

LIMO編集部