年金は、一度決まった金額がずっと同じというわけではありません。実は、年金額は毎年見直されており、その金額の調整には「物価の変動」と「現役世代の手取り賃金の変動」が関わっています。
たとえば、物価が上がれば生活に必要な支出も増えるため、それに合わせて年金額も増やす方向で調整されます。一方で、支え手となる現役世代の手取りがあまり増えていない場合、その負担に配慮して「賃金の伸び率」に合わせて年金額を改定する決まりになっているのです。
たとえ物価が大きく上昇しても、現役世代の賃金が追いついていなければ、そのギャップを埋めるようなバランス調整が入るというわけです。
厚生労働省が公表した「令和7年度の年金額改定について」によると、2025年度の年金額は前年度と比べ1.9%引き上げられることが決定しています。
ですが、物価の高騰に引上げ率が追い付いていないことなどを理由に、年金に上乗せして支給される「年金生活者支援給付金」が用意され、2025年度は2.7%の増額となります。
本記事では、「年金生活者支援給付金」の支給対象となる方や、申請手続きの方法、不該当となるケースについてわかりやすく解説します。
老後資金の準備方法について考えている方は、ぜひ参考にご覧ください。
1. 年金生活者支援給付金は《老齢・障害・遺族》の3種類
年金生活者支援給付金は、公的年金等の収入金額やその他の所得が一定基準に満たない人を対象に、公的年金に上乗せして支給されるものです。
老齢年金、障害年金、遺族年金、それぞれの年金ごとに給付金が設けられています。
1.1 「老齢年金生活者支援給付金」の要件をチェック
- 65歳以上の老齢基礎年金の受給者
- 同一世帯の全員が市町村民税非課税
- 前年の公的年金等の収入金額(※1)とその他の所得との合計額が昭和31年4月2日以後に生まれの方は88万9300円以下、昭和31年4月1日以前に生まれの方は88万7700円以下(※2)
※1 障害年金・遺族年金等の非課税収入は除く
※2 昭和31年4月2日以後に生まれた方で78万9300円を超え88万9300円以下である方、昭和31年4月1日以前に生まれた方で78万7700円を超え88万7700円以下である方には「補足的老齢年金生活者支援給付金」が支給されます。
1.2 「障害年金生活者支援給付金」の要件をチェック
- 障害基礎年金の受給者である
- 前年の所得(※)が472万1000円以下である(扶養親族等の数に応じて増額される)
※ 障害年金等の非課税収入は除く
1.3 「遺族年金生活者支援給付金」の要件をチェック
- 遺族基礎年金の受給者である
- 前年の所得(※)が472万1000円以下である(扶養親族等の数に応じて増額される)
※ 遺族年金等の非課税収入は除く
それぞれの給付金で上記の要件をすべて満たしている場合に、年金生活者支援給付金の支給対象となります。
次に、2025年度最新の「年金生活者支援給付金」の給付額の目安について確認していきましょう。