まもなく定年を迎える人は、退職後のライフプランをどのように描いているでしょうか。「再就職して働き続ける」「少し休んでから働き口を探す」「十分な資産を蓄えたので年金生活に入る」などさまざまな選択肢が考えられます。
公務員として働き続けた人も、定年を迎えると再就職か完全リタイアかの選択を迫られます。退職後は収入がグッと減るため、生活支出や年金受給額も気になるところでしょう。
公務員は老後生活をどのように歩んでいくのでしょうか。この記事では、公務員の定年退職後の生活における、退職後のライフプランや生活支出、年金受給額について解説します。
1. 定年後も働きたい公務員は8割超!
人事院の「令和5年退職公務員生活状況調査」によれば、調査対象の国家公務員5233人のうち、定年退職後の就労については、8割超が「定年後も働きたい」と回答しています。
1.1 調査結果:定年退職時の就労希望は?
- 定年退職後も働きたいと思った:83.3%
- 定年退職後は働きたいとは思わなかった:16.4%
- 不明:0.3%
多くの人が定年後の就労を希望していることから、働くことで社会に貢献するやりがいを感じたいと考えている人が多いようです。
一方で「定年後も働かないと老後生活が不安」というような、収入面の心配をしているとも考えられます。
1.2 調査結果:「定年退職後も働きたい」理由は?
同調査では「定年後も働きたい」と回答した4360人に、理由を聞いています。回答結果は以下のようになりました。
- 日々の生計維持のために必要:85.7%
- 社会との接点や生活の張り・生きがいを持ちたい:44.0%
- 経済的により豊かな生活を送りたい:38.1%
- 仕事を通じて社会や職場に貢献したい:34.4%
- 健康維持のために必要:31.4%
- 資格・技術を活用したい:9.7%
- その他:2.0%
8割超の人が「日々の生計維持」のために働きたいとしています。「定年退職後の収入が不安」「老後生活への準備が万全でない」と感じている人がいかに多いかがわかるでしょう。
1.3 調査結果:定年退職後、何歳まで働きたい?
公務員の定年は法改正によりゆっくりと65歳までに引き上げられる予定ですが、多くの人は60歳をもって定年退職を迎えます。定年後いつまで働きたいか人事院で調査したところ、回答結果は以下のとおりでした。
- 65歳まで働きたい:45.1%
- 年齢に関係なく、働けるうちはいつまでも働きたい:24.0%
- 70歳まで働きたい:12.2%
- 特に決めていない:17.3%
- その他:1.2%
- 不明:0.1%
約半数の人が、年金受給の始まる65歳まで働きたいと考えているようです。5年間働けば給与収入が得られるうえ、厚生年金の金額も増やせます。
多くの人が「60歳で定年退職後、65歳まで働き年金生活に入る」というライフプランを思い描いていると考えられるでしょう。
では、次章では公務員世帯の平均支出額と、厚生年金加入者の平均受給額を見ていきます。