4月から公的年金および年金生活者支援給付金が増額改定されました。2025年度の年金生活者支援給付金は2.7%増加し、給付基準額は月額5450円となります。増額分の支給は6月13日となる予定です。

国から支給される給付金には、様々な制度があります。その一つに、「年金生活者支援給付金」という制度があるのはご存じでしょうか。

こういった給付金は、申請をしないと支給されません。

今回は、「年金生活者支援給付金」の概要や支給要件などを解説していきます。ご自身が給付金の対象となるか確認し、将来への備えについて考えていくうえでぜひ参考にしてみてください。

1. 2ヵ月に1度基礎年金に上乗せ!「年金生活者支援給付金」とは?

「年金生活者支援給付金」とは?1/6

年金生活者支援給付金制度について

出所:厚生労働省「年金生活者支援給付金制度について

 

「年金生活者支援給付金」とは、公的年金を含めても所得が一定基準額以下となる人を対象とする給付金です。2カ月に一度の年金支給日に、公的年金へ上乗せして受け取ることができます。

年金生活者支援給付金は、受給中の年金種類に合わせて3種類あります。

1.1 年金生活者支援給付金は3種類

  • 老齢年金生活者支援給付金(補足的老齢年金生活者支援給付金)
  • 障害年金生活者支援給付金
  • 遺族年金生活者支援給付金

それぞれの支給要件などを確認しましょう。

2. 「年金生活者支援給付金」の対象となる人

それぞれの年金生活者支援給付金について、支給要件を見ていきます。

「年金生活者支援給付金」は3種類2/6

「年金生活者支援給付金」の支給要件

出所:厚生労働省「「年金生活者支援給付金制度」について」

2.1 「老齢年金生活者支援給付金」の支給要件

  • 65歳以上の老齢基礎年金の受給者
  • 同一世帯の全員が市町村民税非課税
  • 前年の公的年金等の収入金額(※1)とその他の所得との合計額が昭和31年4月2日以後に生まれの方は88万9300円以下、昭和31年4月1日以前に生まれの方は88万7700円以下(※2)である。

※1 障害年金・遺族年金等の非課税収入は含まれません。
※2 昭和31年4月2日以後に生まれた方で78万9300円を超え88万9300円以下である方、昭和31年4月1日以前に生まれた方で78万7700円を超え88万7700円以下である方には、「補足的老齢年金生活者支援給付金(※3)」が支給されます。

※3「補足的老齢年金生活者支援給付金」とは?

老齢年金生活者支援給付金は、一定の所得以下の年金受給者に向けた制度ですが、基準額を少しでも超えると給付対象外となり、基準額ギリギリで給付対象となる人よりも総所得が低くなる逆転現象が起こる問題がありました。

この不公平を解決するために「補足的老齢年金生活者支援給付金」が設けられています。補足的老齢年金生活者支援給付金は、所得が基準額を超えても一定範囲内であれば受給でき、所得が増えるにつれて給付額は減少するしくみとなっています。

2.2 「障害年金生活者支援給付金」の支給要件

  • 障害基礎年金の受給者である
  • 前年の所得(※)が472万1000円以下である(扶養親族等の数に応じて増額)

※ 障害年金等の非課税収入は除く

2.3 「遺族年金生活者支援給付金」の支給要件

  • 遺族基礎年金の受給者である
  • 前年の所得(※)が472万1000円以下である(扶養親族等の数に応じて増額)

※ 遺族年金等の非課税収入は除く

それぞれの給付金において、上記の要件をすべてを満たす場合に「年金生活者支援給付金」の支給対象に該当します。

次では、1月に公表された2025年度の年金生活者支援給付金の給付額についても見ていきましょう。

3. 【年額最大約6万円】年金生活者支援給付金制度の給付額は2.7%プラス改定

公的年金(国民年金・厚生年金)と同じく、年金生活者支援給付金制度の給付額は毎年度改定されます。

2025年度分は、前年の物価変動率に基づき2.7%の引き上げが決まりました。

3.1 【最新】2025年度の年金生活者支援給付金の給付額

年金生活者支援給付金の給付額

年金生活者支援給付金の支給金額

出所:厚生労働省「令和7年度の年金額改定についてお知らせします~年金額は前年度から 1.9%の引上げです~

 

  • 老齢年金生活者支援給付金:基準額:月額5450円
  • 障害年金生活者支援給付金:障害等級1級6813円・2級5450円
  • 遺族年金生活者支援給付金:月額5450円

ただし、老齢年金生活者支援給付金については、上記の基準額をもとに保険料納付状況(※保険料納付済期間や免除期間)に応じて計算されます。実際に受け取る金額には個人差が出る点は留意が必要です。

支給要件を満たすと、月額で最大約5000円、1回の年金支給で最大約1万円、年額にすると最大約6万円が、年金に上乗せされることになります。

ただし、この「年金生活者支援給付金」を受け取るためには手続きが必要です。次で見ていきましょう。

4. 【申請しないともらえないお金】年金生活者支援給付金の申請方法

年金生活者支援給付金の受給には、申請手続きが必要です。

対象となる人にはお知らせを兼ねた請求書が届きますが、これを提出しないと「1円も」受け取ることができません。

現在の年金状況により日本年金機構から届く書類は違います。ここでは「これから老齢年金を受給スタートする人」と「すでに年金を受給している人」の2パターンを解説します。

4.1 パターン1:これから老齢年金を受給スタートする人

これから年金を受給開始する人が、年金生活者支援給付金の支給対象となった場合は、老齢基礎年金の請求書に給付金請求書が同封されます。

給付金請求書に必要事項を記入し、老齢基礎年金の請求書と一緒に提出しましょう。

これから老齢年金を受給スタートする人の申請方法3/6

65歳の誕生日を迎え、老齢基礎年金を新規に請求する場合の申請方法

出所:日本年金機構「老齢基礎年金を新規に請求される方の請求手続きの流れ」

なお支給要件に該当するか確認できない場合には、上記の「年金生活者支援給付金請求書(A4型)」とともに、所得情報等を確認するための所得状況届が送られてきます。

4.2 パターン2:すでに年金を受給している人

既に年金を受給中で、新たに年金生活者支援給付金の対象となった場合、 毎年9月1日以降に「年金生活者支援給付金請求書(はがき型)」が順次郵送されます。

請求書の指定部分に必要事項を記入し、切手を貼って返送しましょう。

すでに年金を受給している人の手続き方法4/6

すで年金を受け取っている人の手続き方法

出所:日本年金機構「年金生活者支援給付金請求書(はがき型)が届いた方へ」

なお、年金を繰上げ受給中の人には上記とは異なる様式の書類が届きます。

いずれの場合も、申請手続きを一度おこなうと、2年度以降は基本的に手続き不要で受給が可能となります。支給要件を満たさなくなった場合には、「年金生活者支援給付金不該当通知書」が届きます。

5. 公的年金制度をおさらいしておこう

「厚生年金+国民年金」公的年金制度は2階建て5/6

日本の年金制度のしくみ

出所:日本年金機構「公的年金制度の種類と加入する制度」等を参考にLIMO編集部作成

最初に、日本の公的年金制度について基本的な部分を簡単におさらいしておきましょう。

日本の公的年金は、ベース部分である「国民年金(基礎年金)」と、上乗せ部分の「厚生年金」から構成されるため、「2階建て構造」などと呼ばれますね。

それぞれの年金制度の基本を整理しておきましょう。

5.1 国民年金(1階部分)

  • 加入対象:原則、日本国内に住む20歳以上60歳未満の全ての人
  • 年金保険料:全員一律(年度ごとに改定。2024年度は月額1万6980円)
  • 老後の年金額:年金保険料の納付済月数に応じて決まる

5.2 厚生年金(2階部分)

  • 加入対象:主に公務員やサラリーマンなどが加入する
  • 年金保険料:報酬(給与・賞与)に応じた保険料を支払う(上限あり)
  • 老後の年金額:納付済の年金保険料によって決まる

厚生年金と国民年金では年金額の計算方法が異なること、厚生年金は「上乗せ部分」の年金であることから、「国民年金のみに加入していた人」と「国民年金+厚生年金に加入していた人」とでは、一般的には年金水準に差がつきます。

現役時代の働き方によって年金加入状況は一人ひとり異なります。それが老後の年金額に大きく影響するのです。

6. 【老齢年金の早見表】いまどきシニアの「国民年金・厚生年金」平均年金月額はいくら?

ここからは厚生労働省年金局「令和5年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」をもとに、国民年金と厚生年金(※)の受給額を見ていきます。

※厚生年金の被保険者は第1号~第4号に区分されており、ここでは民間企業などに勤めていた人が受け取る「厚生年金保険(第1号)」(以下記事内では「厚生年金」と表記)の年金月額を紹介します。

6.1 【一覧表】60歳~90歳以上《国民年金・厚生年金》全体・男女別の平均はいくら?

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出所:厚生労働省年金局「令和5年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」をもとにLIMO編集部作成

国民年金の平均月額

  • 全体 5万7584円
  • 男性 5万9965円
  • 女性 5万5777円

厚生年金の平均月額

  • 全体 14万6429円
  • 男性 16万6606円
  • 女性 10万7200円

国民年金のみの受給権者は、全体、男女別ともに平均月額は5万円台。満額受給の場合でも7万円弱です。一定の要件を満たす場合、老齢年金生活者支援給付金の支給対象となります。

一方、厚生年金の受給権者の場合、平均月額は全体で14万円台でした。国民年金のみの受給権者と比較すると受給額は高めですが、男女別に見ると、男性は16万円台、女性は10万円台と大きな開きがあります。

また、厚生年金の受給額は個人差が大きいです。月額3万円未満から、25万円超まで、幅広い受給額帯に分布しています。

受給額次第では、厚生年金を受け取る場合でも老齢年金生活者支援給付金の支給対象となる可能性はあるでしょう。

7. まとめにかえて

今回は、「年金生活者支援給付金」の概要や支給要件などを解説していきました。

こういった支援金や給付金などが受給できるのはありがたいことですが、対象となる人は限られています。

また年金やこうした給付金だけでは、老後資金として十分とは言えないと感じた方も多いのではないでしょうか。日本では少子高齢化が進んでいるため、現行の年金制度も改定される可能性も考えると、より一層自助努力が必要となるでしょう。

安心した老後を迎えるために、将来への備えとしてできることを、この機会に考えてみてはいかがでしょうか。

※LIMOでは、個別の相談・お問い合わせにはお答えできません。

参考資料