シニアが受け取る年金は、多くの場合、税金や社会保険料が天引きされて支給されます。

税金や社会保険料を年金から天引きすることで、年金受給者の方は保険料や税金を納めに行く手間がなくなり、市区町村にとっては、税金や保険料徴収に関する事務コストを削減することができます。

そこで今回は、老齢年金から天引きされる税金や社会保険料、これらが天引きされる条件についても解説します。さっそくみていきましょう。

※ここでいう「天引き」とは、所得税などの源泉徴収、住民税などの特別徴収のことを指します。

1. 年金から「天引き」される5つのお金とは?

税金や社会保険料を支払う側と徴収する側、それぞれの負担を軽減することができる仕組みが「天引き」です。年金から天引きされるのは、次に挙げる税金や社会保険料です。

  • 介護保険料
  • 国民健康保険料
  • 後期高齢者医療保険料
  • 個人住民税および森林環境税
  • 所得税および復興特別所得税

国民健康保険料または後期高齢者医療保険料、住民税および森林環境税が天引きされる場合、介護保険料が天引きされていることが前提となります。

それでは、それぞれの保険料や税金について、天引きされる条件を確認していきましょう。

1.1 介護保険料

介護保険料は、40歳~64歳までは健康保険料とともに介護保険料が徴収されますが、下記の全てに該当する方は、年金から介護保険料が特別徴収されます。

  • 65歳以上の方
  • 老齢もしくは退職、障害または死亡を支給事由とする年金を受給している方
  • 年間の受給額が18万円以上の方

1.2 国民健康保険料

国民健康保険料も年金から天引きされるお金です。下記の全てに該当する方は、国民健康保険料が年金から特別徴収されます。

  • 65歳以上75歳未満の方(後期高齢者医療制度の該当者を除く)
  • 老齢もしくは退職、障害または死亡を支給事由とする年金を受給している方
  • 年間の受給額が18万円以上の方

※国民健康保険料と介護保険料の合計額が、特別徴収の対象の年金額の2分の1を超えない場合に限る。